上司や先輩におごってみよう

 日本人のコミュニケーションの中で避けて通れないのが、「飲みニュケーション」ですね。上司と部下、先輩と後輩、という関係の場合、上司と部下なら上司が、先輩と後輩なら先輩が多めにお金を出す、というのが現状ではないでしょうか?

 ずるゆるマスターになるために、ここで立ち止まって考えてみていただきましょう。上司や先輩は、自分を指導教育してくれ、場合によっては引き上げ、引き立て役になってくれる存在です。いわば恩人、感謝すべき対象の人です。感謝の意を込めて「多めにお金を出す」を逆転させてみてはいかがでしょうか。

 中国では、多くの場合、日本とは逆です。上司、先輩はお金を出さず、部下や後輩がお金を出す場合が多いのです。考えようによっては、それが自然だと思いませんか?

 出世したくない、という人が増えています。当然でしょう。残業代は頭打ちになり、気分転換の飲みの席では部下や後輩より多めにお金を出さなくてはいけない、出世したほうが手取りが減ってしまう、という現象が起こっているので無理もないことです。

 この「やってられないよ」の気持ちを察して、「私におごらせてください」と上司や先輩を誘うのです。上司や先輩は指導教育、引き上げ引き立てもしてくれる存在です。決して損にはならないはずです。

 「○○次長は、お子さんの学費や冠婚葬祭での出費が私よりも多いですよね。でも、会社では次長には残業代は出ないですから、大変ですよね。普段ご指導いただいている感謝の意味を込めて、私におごらせていただけませんか?  高い店は無理ですけど(笑)。気持ちとして、おごられてください」と言えば、上司の自尊心を傷つけることもなく、上手に誘えるのではないでしょうか?

 そんなことしても、おべっか・ゴマすりと思われてしまうよ、と心配される方もいらっしゃると思いますが、ご心配無用。おごってもらった上司が、それを周りに吹聴することはほぼない、と考えるのが妥当です。部下や後輩にお金を出してもらった、というのは日本社会では非常識と捉えられかねませんから、敢えてそれを公言するはずはありません。おごってもらった上司や先輩がその後、心のどこかであなたに「マル」をつけるのは想像に難くないですね。

可能性を広げる「おごり」の多様な効能

 具体例をみてみましょう。

 精密機器メーカーに勤める、ずるゆるマスターの係長Tさん。最近部署統合があり、そのあおりで実質的に人員不足になっています。部長が兼務になり、今までの自分たちの部署の責任者はG課長が担うことになりました。課長職は管理職なので役職手当だけで残業代はもちろんありません。

 Tさんは、自分を係長に押してくれたG課長が最近冴えない顔をしていることが多いのを気にしていました。Gさんは、課長職ですが宴会部長と呼ばれるくらい飲みの席が好きなタイプです。ですが、新しくなった部署が軌道になかなか乗らず、残業続きで気分転換ができていないのが手に取るように伝わってきます。