「そうなんだ、正直に話してくれてありがとう。大変だね。Y君は仕事の方は順調に進めてくれるし、いい評判を耳にしているよ。親御さんのこともビジネスと同じように、うまくやれそうに思うけどね」

 「ええ、ですが、無い袖は振れません」

 「お金のことかい? 気にしているのは」

 「はい、お恥ずかしい話ですが、親の体は年齢を考えると当然と受け入れることができるのですが、資金計画が狂ってしまいます」

 「そうなんだ。沖縄のおば~(おばあさん)がいつも言っていたよ。『お金は笑わないさ~』と」

 「お金は笑わない、ですか」

 「そう。君は仕事で素晴らしい成果を出している。その原動力は何かな?」

 「それはやっぱり、チームメンバーやお客さんの笑顔です」

 「今までの過去の実績は?」

 「そうですね、それは自信の一つにはなっていますが、原動力とは少し違うかもしれません」

お金にとらわれる=過去にとらわれる

 「そうか。今まで華僑の権謀術数を色々と伝えてきたけどさ、その権謀術数はなんのためだった?」

 「人心掌握、陰陽、操縦、抜道、意表、たくさんありました」

 「お金儲けの代名詞になっている華僑はお金の先を見ているから、罪悪感など感じず、権謀術数をビジネスに使う」

 「……」

 「Y君は確かK大卒だよね。もうちょっと、ゆるく考えてみたらどうだい、ウチナーンチュ(沖縄人)みたいにさ。ウチナーのおば~ならこう言うはずだよ、『恥ずかしいさ、いい大学出たのに。大学まで出てお金お金って何を勉強したさ?』と」

 「そうですね」

 「お金は何かしたことへの対価なのだから、結果論なんだよ。評価と同様に後からついてくるものだよ。お金にこだわるのは過去の栄光にしがみついているのと同じだよ。次の一歩を踏み出したいなら、過去の結果であるお金にこだわってはいけないよ、それが華僑流だ」

 「はい、なんだか、スッキリしました。今まで以上に張り切ってやっていけそうです、ありがとうございました」

 戦略立案、企画などいつも緻密な計算で結果を出しているのに、なぜかいつもリラックスしているあの人は、うちなーシンキングを知っている“ずるゆるマスター”かもしれません。

 筆者の最新刊『頑張らないで幸せになれる 最強のうちなーシンキング』では、華僑にも通じる、ゆるくて楽で合理的な処世術を紹介しています。ぜひ当コラムとあわせてお読みください。