日本のストレスを大きく抱えるビジネスパーソンの多くは、この「仕方ない」という言葉を嫌う傾向にあります。ですが、この言葉をそのまま捉えるのではなく、日本人が得意とする行間を読めば納得の言葉なのです。「(今は)仕方ない」のです。誰しも初めから、いつも、すべてにおいてできる人はいません。誰しも最初は「今は」できないのです。それが段々できるようになっていくことを成長というのです。

 例えば、表計算ソフトでマクロが使えないとします。それを上司に指示され、「(今は)できません」と言って断れないと、とてつもないストレスがその人に襲いかかってくるでしょう。なんとか仕上げなければ、期限内に…。

 副業解禁の会社も増えてきました。クラウドソーシングによって得意な人がササっと片付けてくれる案件が、あなたの想像以上に増えています。自分でこなせなければ、そういったところにヘルプを頼むのも大いにありですし、「今はできません、ですが、次回お声がけいただいた時にはできるように勉強しておきます」と答えることもありです。それは成長につながりこそすれ、ストレスにはならないでしょう。

 もし、あなたが上昇志向が強い人で「NO」を言わないのを信条としていたら、それは危険です。ストレスが積み重なって大きな病気を患うリスクも高まりますし、武士道に反します。日本古来の武士道こそ「潔く」なのです。ほとんどの方は時代劇を見たことがあると思いますが、上に立つ武士が「ひけ、ひけー」と叫んでいる場面を見たことがあるでしょう。そうです、上を目指すのであれば、今は勝てない勝負だと見極めれば、その時は瞬時に逃げることを決定するのが重要な仕事の一つなのです。攻め一辺倒で上り詰めた人はいません。待ちや引き、を知っている人が選ばれるのは、古今東西問わず常識なのです。

「お金は笑わない」

 それでは“ずるゆるマスター”の事例を見てみましょう。

 Yさんは困っています。住宅ローン、自動車ローン、子供の教育費や会社の仲間との付き合いなどで常にギリギリの生活をしている中で、親の介護の問題が浮上したのです。自分の親は健康で安心だと思っていましたが、階段で転んで骨折し、歳が歳なだけに、今後は一人での生活は無理とお医者さんに宣告されてしまったのです。

 地元に帰ることも考えましたが、子供の教育のことや自分の年齢からの転職などを考えると踏み出せません。親をこちらに呼び、スペース的に今の自宅で同居は無理なので、近くにアパートでも借りて住まわせることになりそうです。

 「将来のためと思ってスズメの涙ほどの貯金をしてきたけれども、これを使わないとダメだろうな、はあ~」、思わずため息が漏れます。

 「仕事に集中できない」。こんなことではすべての生活パターンがダメになってしまうと感じたYさんは、親の介護をしながら、バリバリ仕事をしているRさんに相談することにしました。Rさんは最年少で部長に昇進し、役員への抜擢も噂されている“ずるゆるマスター”です。

 「という訳でここのところ、仕事に集中できません」