なんとなく頭打ち…、中間管理職の憂い

 それでは“ずるゆるマスター”の事例をみてみましょう。

 中堅流通会社に勤める企画部課長補佐Cさんは、最近自分の伸び悩みを感じていました。なんとも言えない閉塞感を覚えており、「このままでいいのだろうか」と考え込んでしまうことも多くなってきました。

 課長補佐という中間管理職ですので、部長や課長からの業務命令もありますし、係長以下部下の人たちへの指導もこなさなければなりません。部長や課長は業務上の権限もあり楽しそうに仕事をしているように見え、一方で部下は呑気で楽そうに見えてしまいます。

 「僕はこのままで終わってしまうんじゃないだろうか。部長にはなれないにしても課長、次長と階段を登っていけるのだろうか。ひょっとして、部下の彼ら彼女らに抜かれていくんじゃないだろうか」

 考えれば考えるほど、気分はドンドン滅入っていきます。考え込んでも仕方ないのでインターネットで「部下育成」や「出世方法」などで検索して出てきたセミナーに参加してみたり、どこかの誰かが書いたウェブサイトやブログを熱心に読んだり、試したりしているものの気持ちは晴れません。書店や図書館にも足を運ばなければ、と思いつつも日々の業務の疲れでどうも気が進みません。

 今の状況を課長に相談すれば、「課長の器ならず」の烙印を押されそうで怖いという思いもあり、かといって同期に相談すれば、弱点を晒すようでそれはそれで危険だと感じます。部下に冗談ぽく話してみようかな、と考えたこともありましたが、それも部下からの信認がなくなりそうで怖くなりやめました。

 「そうだ、W部長に相談してみよう」。W部長は、最年少役員の呼び声高い実力者でありながら、「仏のW」と囁かれるほど、優しく面倒見がいいことでも社内で有名です。一時は閑職の立場になったこともありますが、見事復活を果たし、今ではみんなの憧れの的です。

チャンスがあるのにチャレンジできない理由とは?

 その夜、CさんはWさんとある居酒屋で向かい合わせに座っていました。

 「部長、というわけでとても悩んでおります」

 「そうなんだ、正直に話してくれてありがとう。ところでC君、社歴も15年くらいになるよね。何か最近学んでいることとかはあるかい?」

 「いえ、特にこれといって何かにチャレンジしているということはありません」

 「企画部は中小企業診断士の資格取得を奨励しているのをもちろん知っているよね? それに名乗りをあげれば受験予備校に行っている時間も残業代が出るからね。合格すれば、報奨金も出るし等級もひとつ昇格する、ということはC君の等級だったら課長になれるんじゃないのかい」