ビジネスの社会では、生き残ったものが最終的に勝ちを収めます。当然ですね。資本主義社会において、マーケットの大きさが同じならライバル(参入者)が多ければ多いほどパイの奪い合いは熾烈を極めます。一方ライバルが少なければ、それだけ労少なくして、多くのパイを手にできます。現在のように時代の流れが速いときほど、今の勝ちパターンはすぐに古くなってしまいます。古くなるのが目に見えている勝ちパターンを新たに覚えるよりも、失敗のパターンをたくさん知り、それと同じ轍を踏まないように工夫する方が、勝ちが少なくても生き残る可能性は高くなります。

 各所で「成功体験」を捨てなさい、とよく言われているのは読者の皆様もご存知の通り。会社対会社といっても、分解していくと結局は個人対個人になります。法人営業、個人営業と分けて研修などが行われていますが、法人営業といっても担当者対担当者ということを考えれば、分けて考える意味はそれほどないこともお分かりいただけるでしょう。結局はその人の対人能力がモノをいうのです。個人の英知の結晶が会社の判断となっていくのを考えると、個人の失敗の蓄積が会社にも役立つというのはここまでお読みの方はなんとなくお分かりいただけたかと思います。

 今回は失敗こそ財産、そのようなことをご紹介させていただきます。

失敗がもたらす3つのメリット

 失敗をすることによって得られるメリットは次の3つになります。

  • ①失敗への免疫をアピールできる
  • ②警戒されない
  • ③話す内容に気を使わなくてよくなる

 1つずつ説明します。1つ目の「失敗への免疫をアピールできる」ですが、ご自身が誰かに何かをお願いする時のことを考えるとわかりやすいでしょう。

 ここに二人の部下がいます。一人は育った環境も温室育ちで何も失敗経験がない人、もう一人は育った環境は一般的ですが、たくさんの失敗を重ねてきた人。この二人のどちらかに少し難しめの仕事を頼む場合、どちらに頼むでしょうか? 失敗経験がない人を選ばれる方もいらっしゃるでしょう。それも一概に間違いではありません。

 その理由はいたって明快で失敗経験が全くない人というのは失敗をイメージすることができません。ですので、本人の中で失敗をしないような動きをしっかりとしてくれる可能性があります。ただ、この失敗経験のない人の弱点は、失敗をする可能性は最初から選択肢として除外して思考行動する、というところにあります。ただでさえ経験が浅い中で更に失敗の可能性を除外するということは、本当に限られた選択肢の中でしか思考行動しない、ということになります。ですので、このような人に何かの頼みごとをするのは単純作業に限った方が無難だということになります。

 一方、失敗経験がある人、その経験が豊富であればあるほど、いわゆる失敗慣れしており、失敗のたくさんの症例も知っていることから様々なリスク分析をした上での大胆な思考行動を期待できます。また、失敗経験がある人は、やり直しや練り直しに慣れていますので、自然とスピード感溢れるレスポンスが期待できます。

 自分が頼まれる側に回った場合を考えても、失敗経験があれば、それを活かした提案ができます。提案に対して多かれ少なかれ、反対意見や反論はつきものです。そういったときでも失敗した後の時間的、金銭的、リソースのリカバリー方法まで含めた提案ができるようになってきます。「過去にこのような失敗事例がありましたが、その対策として」と付け加えるだけで、この人はそのような不測の事態が起こっても、慌てず、落ち着いて遂行できる人と印象づけられます。