次にもう一つ下の図を見て下さい。

 先ほどの図と似ていますが、これは仕組債に組み込まれているデリバティブに着目したものです。発行体は投資家から買ったオプション(a)を、そのままスワップハウスである金融機関に売っています(b)。従って発行体はオプションのリスクを保有していません。

 また、金融機関は発行体から買ったオプションを、金融市場で売ることによってリスクをヘッジしています(c)。ここで注目してほしいのは、金融機関が発行体に支払うオプション料と金融市場での取引相手から受け取るオプション料に差があるということです。

 つまり、金融機関は市場で取引されているオプション料より安いオプション料を投資家に支払うことにで鞘を抜いているのです。

 投資家の立場で考えると、オプション料が仕組債の高い利率の原資になっているわけですが、「オプションの売り」によって取ったリスクに見合ったオプション料(15%)はもらえません。

 簡単に言えば、オプション料の差額である7%分が、手数料としてスワップハウスである金融機関の懐に入ることになるので、金融機関にとっては、投資家の「早期償還→償還元本を仕組債に再投資」という行動は、手数料がその度に懐にはいる「おいしい商売」になります。

「仕組債は割に合わない」と心得る

 仕組債がいかに割に合わないか、簡単な例を挙げて説明しましょう。下の図のようなゲームをやってみましょうか。ルールは次の通りです。

【ルール】
サイコロを1回振って「1」が出たらあなたが相手に600円を払い、1以外であれば何も起きません。ただしあなたは、ゲームの参加料として毎回、相手から90円をもらえます。

 あなたはこうしたゲームをやりますか?  普通はやらないですよね。毎回90円がもらえるとはいえ、6回に1回でも「1」が出たら損するゲームだからです。

 仕組債はこのような不公平なゲームと同じようなもの。けれども仕組みが複雑なために、一見すると高いリターンを得ることができると錯覚してしまうのです。「繰り返せば大きな損失を被る」ということを理解してほしいと思います。

 以上、危険な金融商品の例として、仕組債を取り上げました。仕組債は証券会社が販売しているものですが、同様の仕組みの商品では「仕組預金」という銀行が販売しているものもありますので注意してください。仕組債も仕組預金も、皆さんの資産形成のための投資には不向きです。手を出さないで下さいね。

 次回は、仕組債よりさらにハイリスクな金融商品を取り上げて、その問題点について解説します。