①発行体
 債券を発行する主体。海外の政府系金融機関や国際機関といった比較的信用力が高いところのほか、民間金融機関の場合もある。普通の債券であれば、発行体の信用力が重要なファクターになりますが、仕組債の場合は発行体の信用力は高い場合が多いので、それほど気にしなくても大丈夫。それより、以下に説明する「仕組み」の方が重要です。

②利率
 利率の説明を見ると、3カ月毎の利払い日における対象株式(ABC電機)の価格によって、利率は年8%か年0.1%のいずれかになることが分かります。株価が当初から15%を超えて下落しなければ、8%という“普通の円建債券では考えられない高い利息”が支払われます。現在、個人向け国債の利率は0.05%ですから、それと比べると信じられないくらい高い利率ですね。

③早期償還
 早期償還とは、あらかじめ定められた条件を満たした場合に、償還日を繰り上げて償還すること。この仕組債の場合、対象株式の価格が当初から5%以上値上がりすると、償還日前であっても債券は償還され、額面金額(=元本)が払い戻されます。

④満期償還
 満期償還とは、早期償還条項に該当することなく償還日を迎えること。この仕組債の場合、対象株式の価格によって、次のように償還金額が決定します。ここで出てくる「ノックイン」とは、あらかじめ定められた株価水準(ノックイン価格 ※⑤を参照)を下回ることを言います。ノックインすると(b)の条件から元本を大きく下回る損失が生じる可能性があります。

 (a)満期までの期間で対象株式の価格がノックイン価格を下回ることがなければ、額面金額が支払われる。

 (b)ノックイン価格を一度でも下回った場合は、仕組債の発行時から満期時までにおける対象株式の株価変動率を額面に乗じた金額が(額面を上限とする)支払われる。

⑤ノックイン価格
 ノックイン価格は、④の満期償還金額を決定するカギとなる価格で、当初の株価よりかなり低く設定されています。この仕組債の場合は、当初価格の65%になっています。

 さて、Aさんは説明を一通り見て次のように考えました。

 Aさんは、ちょうどボーナスでまとまったお金が入っていたので、この仕組債に投資してみました。果たして、Aさんの仕組債投資はうまくいったのでしょうか…。

 Aさんが仕組債を購入した後、株式相場は堅調に推移。高い利息を受け取ることができました。しかし株価が5%以上値上がりしたため、早期償還条項に抵触し、3カ月後に元本も戻ってきました。

 Aさんは、戻ってきたお金を利息がゼロに近い銀行預金に戻すのをバカバカしく思いました。そこで再び同じような仕組債を購入することにしました。引き続き株式相場は上昇基調にあり、またもや、高い利息を受け取り、早期償還で元本が戻ってきました。

 こうなると止まりません。戻ってきた元本でまた仕組債を購入。結局Aさんは、株式相場が堅調に推移する中、「仕組債購入→早期償還→再び仕組債購入」を繰り返し、高い利息収入を受け取り続けました。

 ここまで見ると「おいしい商品」に思えるのですが、このあとAさんは大損害を被ります。