損得勘定にこだわらない

 あと、トンチン年金と公的年金の繰り下げの両者に共通して言えることですが、早く死んだら損だとか、何歳まで生きたら元が取れるとか、そういう考え方はあまり意味がないと思います。仮に70歳まで繰り下げて受給したのに、75歳で死んでしまったとしても、「繰り下げて損した」ということではなく、「繰り下げたことによって、老後のお金の心配をしないで生活できて良かった」と考える方が良いのではないでしょうか。

4.まとめ

 今回は、公的年金制度について皆さんが誤解していると思われる点と、これを長生きリスクに対する備えとして、どのように活用したら良いかということをお話しさせていただきました。

 トンチン年金と公的年金の繰り下げの比較のところでも触れましたが、皆さんのライフスタイルやライフプランによって、選択すべき金融商品や制度は異なってきます。しかし、それでも公的年金は検討から外せない重要な選択肢であることを忘れてほしくないのです。

 もし、皆さんが相談した金融機関の営業員やファイナンシャルプランナーが公的年金の説明を十分にしないで、あるいは年金不安を煽って、誤った情報を提供しながら、民間の金融商品のセールスを始めるようであれば、本当に顧客のことを考えているのか疑った方が良いでしょう。

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