下の図のとおり、所得代替率は、マクロ経済スライドという年金抑制策のために低下していく見通しですが、一方で、年金の実質額は上昇する見通しになっています。

 今回は、公的年金の財政検証について詳しく触れませんが、表面的な数字だけを取り上げて年金不信を煽る情報には気を付けましょう。

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2.公的年金を増やすためには

 公的年金が、私たちの老後を支える重要な役割を果たすということを理解していただけたでしょうか。次はこれを増やす方法についてご説明します。

できるだけ長く働く

 厚生年金は、就労している間は70歳まで加入することができます。

 加入期間が延びれば、その分将来の年金額を増やすことができます。そして、働いて得た収入で70歳あるいはそれ以上の年齢まで生活することができれば、次に説明する年金の受給を繰り下げることによって、増額された年金が一生の間、保証されることになります。

 長く働くからと言って、一つの会社や職業にずっととどまる必要はないと思います。長い職業生活ですから色んなことにチャレンジすれば良いはずです。できる限り長く働くことは、経済的なメリットだけでなく、私たちに生きがいを与えてくれるでしょう。これも、人生100年時代の備えと言えるものです。

年金を繰り下げて受給する

 公的年金制度では、原則の受給開始年齢は65歳ですが、繰り上げ、あるいは繰り下げを行うことによって、60歳から70歳までの間で私たちそれぞれのライフプランに応じた受給開始年齢を選ぶことができます。

 そして、繰り下げた場合には、1か月当たり0.7%年金が増額されます。つまり、70歳まで繰り下げると、65歳時の年金の約4割増しの年金を受給することができます。

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