電動化で初めて可能になる機体の形

 電動モーターですぐに思いつくのは、模型、あるいは無人のドローンで使われているマルチコプター形式の有人機だろう。4つ以上のプロペラを上に向けて浮力を得て、回転数を制御することで操縦する。この形式は思いつきやすいようで、YouTubeで探すと世界中でプロ、アマチュア入り乱れて様々な機体が試作されている。今回、オシコシには米ベンチャーのWorkhorseというメーカーが、 「SureFly」という機体を持ち込んで展示していた。

Workhorseの有人マルチコプター「SureFly」。8基の電動モーターで浮上する。「新世代の馬を作る」というのがコンセプト。
Workhorseの有人マルチコプター「SureFly」。8基の電動モーターで浮上する。「新世代の馬を作る」というのがコンセプト。

 しかし、この形式にはエネルギー効率が低くなるという問題点がある。電動モーターの制御性が良いという特性を生かして垂直離着陸を行いつつ、高効率の飛行を目指すならば、水平飛行時は翼を使って揚力を得るほうが望ましい。この場合、すぐに思いつくのはプロペラの推力軸を離着陸時と水平飛行時で90度向きをかえるティルト形式だ。しかし、ティルトのための回転軸と回転させるためのアクチュエーターが必要となる。

 つまり設計としては、ティルト軸不要で、かつ垂直離着陸時と水平飛行時の機体形状をを両立できるか、というところがキモとなる。

 今回のオシコシでは、Openerというベンチャーが「BlackFly」という衝撃的な機体を持ち込んで、展示していた。まず、その特異な外観を観てほしい。

Openerの電動垂直離着陸機「BlackFly」。胴体の前後にくし形に翼を装備し、それぞれの翼に片側2基、合計8基のモーターを装備している。
Openerの電動垂直離着陸機「BlackFly」。胴体の前後にくし形に翼を装備し、それぞれの翼に片側2基、合計8基のモーターを装備している。