生涯を通じて大事なことだけど、他人はもとより親子でも突っ込んだ話はしにくい「おカネの話」。これに真正面から取り組み、親が子供に伝えるべき内容を実践的にまとめたのが、パーソナル・ファイナンスの米専門家が書いた新刊『「おカネの天才」の育て方』。米国ではどのようにして「おカネの教育」を子供に行うのか、その実践的な内容は、おカネに関して自己責任の方に向かう日本でも参考になるはずだ。本書から「子供とおカネの話をするときの14のルール」を抜粋、3回に分けて連載する。
前回まで、「子供とおカネの話をするときの14のルール」から、以下のルール1~9までを紹介した。最終回は、ルール10~14までを一気にお伝えしよう。

ルール10:みんなが会話に参加する
研究によると、子供はたいていの場合、母親におカネの質問をするらしい<※1>。とはいえ、ビジネスの世界で成功している超優秀な女性が、おカネのこととなると「パパに聞いてね」という例の古臭いセリフを口にするのを、私は聞いてきた。
ママは忙しい一日に疲れていたのかもしれないし、仕事のことが頭から離れなかったのかもしれない。病気のペットのことを考えていたのかもしれないし、換気扇が壊れたことを気にかけていたのかもしれない。でも、「パパに聞いて」が口癖になると、おカネのことは男のなわばりだと思われてしまう。私は違うと思う。
家族の構成がどうであれ、両親が揃っていても、片親でも、母親がふたりでも、父親がふたりでも、両親と養父母が二組いても、全員が自分の役割として子供と積極的におカネの話をしてほしい。「ママの方がおカネの扱いがうまい」とか、「パパはおカネの達人」とか言わない方がいい。もちろん、「そこは自信がないから、あとで答えるね」と言うのはいい。それから答えを探せばいい。実際に答えを探して子供にきちんと伝えてほしい。
ルール11:男女格差を作らない
数学の成績に男女差があることについては、多くの研究で記録されているが<※2>、おカネにも明らかに男女差がある。問題の一因は親にある。おカネの話となると父親も母親も、娘より息子とよく話す<※3>。投資の話は特にそうだ<※4>。さまざまな調査やアンケートからもそれは明らかだ。
※3 "5th Annual Parents, Kids & Money Survey," T. Rowe Price. "Charles Schwab 2011 Teens & Money Survey Findings," Charles Schwab.
※4 Lynsey K. Romo and Anita L. Vangelisti, "Money Matters: Children's Perceptions of Parent-Child Financial Disclosure," Communication Research Reports, vol. 31, no. 2, 2014, pp. 197-209.
するとどうなるだろう? 男の子は女の子よりもおカネに自信を持つようになる。親もまた、息子の方が娘よりもおカネの価値を理解していると思うようになる<※5>。それでなくても女性は男性より収入が少なく<※6>、引退のための蓄えも少ない<※7>。
※6 Tanya Somanader, "Chart of the Week: The Persistent Gender Pay Gap," WhiteHouse. gov, September 19, 2014.
※7 "The Pay Gap's Connected to the Retirement Gap," The Women's Institute for a Secure Retirement, WISER Special Report, 2015.
そのため女性が金銭面で男性に追いつくにはかなり努力しなければならない。だからこそ、女の子は早くから頻繁に事実を聞く必要がある。男の子も女の子も、おカネのことを知っておくべきだ。
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