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今の株価水準「だけ」を見ると、そんなに割安なのですか。

居林:「弱気派」ということになっている私にも魅力的に見える水準になってきました。まず予想PER(Price Earnings Ratio、株価が1株当たり純利益の何倍かを示す)は12倍前後と割安になりました。まあ株価が下がればPERも下がることが多いですが、PBR(Price Book value Per Share、株価が1株当たり純資産の何倍かを示す)は1倍まで行きました。

 日本企業は実は現預金をいっぱい持っている(2018年3月期で総資産の12%を占 める)し、「営業権(のれん代)」などインタンジブル(無形固定資産)が少ない。企業買収をやってこなかった結果でもありますが。

PBRが1倍で現預金が多く、換金が難しい資産が少ないということは、ブックバリュー、簿価に「値段通りの価値」が期待できるってことですよね。

居林:そう考えれば、株主にとっては税引き後の利益率、ROE(株主資本利益率、Return On Equity)がそのまま利回りになる。これは安心感があり、お買い得です。

 これが、マーケットが下げ過ぎだということを示す3つのサインの1つ目、株価が割安であるという根拠です。市場が正しいのか、指標が正しいのか、その瀬戸際を判断したいと思います。

 次に、ムービングアベレージのリターンを見てみましょうか。これは「3か月前に買ったら何パーセント儲かったか/損をしたか」という移動平均線です。

居林:これは指標でいえば市場の瞬間瞬間のモーメント、上がる、下がる、どちらの方向にどれくらいの速度で動いているのかを示す、いわば速度計です。いまは、勢いよく下に突っ込んでいる、弱気一色ぶりがうかがえます。

 そしていつもの株価と予想企業利益を比較したグラフです(日本企業の12カ月先の企業収益予想=赤線、日経平均=青線)。

3年近い連載で、収益予想のラインからこんなに下に日経平均がきたのは初めてですね。

あとは胃薬を飲んで待つ

居林:この下降の原因は政治イベントによるもの。そして、政治は自らの首を絞めていると気づけば方向転換します。しないと政治的な自殺になりますから。よってモメンタムはどこかで切り返すと考えています。

 もちろん違う可能性もあります。例えば、中国がミリタリーアクションを起こしたら「ごめんなさい」と申し上げるしかありません。ですが、この局面は1~3年経てば「あれはいい買い場だったね」と⾔われることになるような気がします。。

なるほど……え、3年ですか?

居林:そこが大事です。少なくとも1~3月は戻らないでしょう。ここで仕込んだら冬眠するか、あるいは胃薬を飲み続ける。そして相場が正気と勝機を取り戻すのを待つんです。

ううむ。今だと思っても不安は残るでしょうし、買ってもまた下がったら迷いも生まれそうです。難しいですね。

居林:はい。投資タイミングというのは本当に難しい。最安値や最高値をドンピシャで当てるのは難しいです。ならば、たとえば「ここから下値があっても少ない」と思える水準で徐々に買いを入れる、これも時間分散という分散投資のひとつだと思います。

 冷静にマーケットの観察を続けていただきたいと思います。これ以上のマーケットの上下は過去いくつもありましたが、今回も、投資家として経験値を上げることができ、経験知を蓄えることができる貴重な機会ではないでしょうか。

年末ですし、今日で市場もひと休みですから、連載を読み直していただくのもいいかもしれませんね。

居林:以前に、売った株が上がったらどう考えるか、という回があったかと思いますが、今回はさしずめ「買った株が下がったらどうするのか」を考えるいいチャンスになりそうですね。ともあれ、私は、買いに出てよい時期だと考えています。皆様のお考えはどうでしょうか?