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居林:ううむ(笑)。否定できないところが辛いですね。しかし、彼が大統領になった選挙が行われたのが2016年11月ですから、次の大統領選挙への動きが実質的に始まるのは、任期3年目の19年末くらいですよね。それまでに景気がぼろぼろになっていたら、彼が理解していようがいまいが、再選の可能性は閉ざされてレームダック化します。だから、結局は同じことではないでしょうか。

中国との関係はどうでしょう。

居林:いまの状況は、1970年代から90年代の日米貿易摩擦と恐ろしいくらい符合します。たとえば貿易黒字をきっかけに炎上し、その後ココム問題で「国家保障に関わる問題」だと米国からすさまじい批判を浴びた東芝機械の苦境は、まさしく今回のファーウェイを思わせます。もちろん、安全保障同盟の国である日本とは立場が大きく違いますし、今後もいろいろあるのは確実ですが、中国は「臥薪嘗胆」だと頭を下げて逆転を期す、というのがありそうな筋ではと。いずれにせよ、企業の行動は政治に影響されざるを得ないし、そこを手を尽くして乗り越えていくものだと思います。いずれ落着すると見ます。

日本人としては、今後中国がどう動くのかますます興味深いですね。歴史の皮肉さの証人になれる、というところでしょうか。

「負のバブル」が膨らんでいる

居林:市場自体は健全だという証拠はいくらでも挙げられます。もし、中央銀行の金利の引き上げが早すぎた、というなら、米国10年国債を見てみればいいと思います。利回りは3%を割り込んでいます。FRBは来年の利上げの回数を3回から2回に減らしました。そういう指標を市場は「見ていない」。つまり「トランプがもたらす(かもしれない)様々なおそろしい事態」におびえ、感情で動いている、と我々は考えています。。実際にそれで株価が下落を始めれば、「やっぱり!」となって、さらに売りにかかる。

バブルの逆、いや、逆方向へのバブルですね。

居林:まさしく。「負のバブル」です。他人の感じている恐怖が伝染する。みんながダメだと思うと自分もダメだと感じる。以前に詳しくお話したと思いますが、この歴史は、政治発の暴落でも金融発でも何度も繰り返されています。あれこれ言いましたが、要するに「歴史は繰り返さないが、韻を踏む(The past does not repeat itself, but it rhymes.)」ですね。by マーク・トウェイン。

 直近でいうと、2016年にとても似ています。EU解体の危機、と叫ばれたギリシャ危機、イランの供給再開による原油暴落。どれも「政治的問題」ですがメディアのヘッドラインは大きい。危機の深刻さはヘッドラインの大きさによっては決まらないのに、インパクトが出てしまった。それがまた繰り返されている。

 まとめますと、今のマーケットは政治的問題の結果としての株価急落と、金融バブルの崩壊による株価急落を混同しています。下がり方が一緒なので「裏に金融危機があるのでは」という誤解が生まれていますが、暴落という現象は同じでも、リーマンショックとは違う理由で起きている。帰結も違う。ですので、そう遠からず回復すると考えます。ということは、「買い」です。