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(※本記事中のグラフの数字は2018年12月25日、インタビューは26日朝時点のものです)

「クリスマス暴落」という言葉も出ています。12月24日のニューヨーク市場ダウ平均は653ドル安の2万1792ドルで開け、東京市場は連休明け、1年3か月ぶりに2万円台を割り込みました。

居林:言葉のわりにYさん淡々としてますね。

仕事柄、株は持っていませんし、何より居林さんの連載を3年近く担当させていただいて「日経平均には年間で3割くらいボラティリティー(この場合は価格の上下動)がある」と知りましたからね(こちら)。1000円下がっても5%じゃないか、と。そしてなにより、相場の関数である企業業績とは関係ない原因での下げですし。……と、連載を読んできた方ならお考えではないかと。

居林:クリスマスでお休みの市場関係の方が多いらしくて、連絡がついた私のところに「これはリーマンショックの再来か、金融危機が始まるのか」というメディアなどの方から、問い合わせをたくさんいただきました。

「台風」が来たのは間違いなさそうですが、金融恐慌の前触れなのか、あるいは投資のチャンスである市場のミスジャッジか、居林さんの判断は。

ここで買わないならば、いつ買うのか

居林:Yさん、よく勉強されました。ここはパニックに陥らず「インデックスレベルで買い」だと思います。ついに来た。今年の3月の安値を大きく切り下げ、来年の懸念材料の多くを前倒しで織り込みに行ったと思っています。本欄を読んでいただいている方には、胃薬をご準備のうえ、ご自分のリスク許容度に合わせた投資タイミングが来た、と見ていただきたいですね。

おおっ。大漁旗を上げろ、と。

居林:ただし注意点ももちろんありますので、最後までお付き合いいただいたうえで、ですが。

 前回(こちら)、来年1~3月の悪材料に反応して市場が下がる中で、海外投資家によって売られすぎている銘柄を狙って「一本釣り」してはとお話ししました。それが繰り上がって年内に来た、そういう印象です。

今回の暴落も、外国人投資家によるものでしょうか。

居林:まだデータが揃っていませんが、そうではないと思います。海外も日本の投資家もそうですが、年内の損は年内に確定させておきたい、という季節的な株価変動要因がありまして、年末に損切りをして、もし今年利益を確定した投資があれば、それにぶつけて今年の税金の支払額を引き下げられるわけです。海外投資家のポジション整理は、日本株については今月前半でほぼ終わっていると推察しています。この1年間では実に11兆円、日本株を売ったようです。

 しかし25日の東京市場については、海外投資家の動きはほとんどない。なぜなら、クリスマス休暇だから。やるべきことはその前にやっているわけです。

では、東京市場の暴落は。

居林:25日に起きたことは、個人投資家のろうばい売りだと思います。米国が大幅に下げた。まだ下がるかもしれない。24日、日本の市場がお正月で休みの間に、マティス国防長官の辞任よりももっと悪いことが起こるんじゃないか。その恐怖に耐え切れない人たちが売った。信用取引の証拠金不足にともなう強制売却も入っているのではないかと推察します。

とはいえ、下げとしてはリーマンショック時と同様かそれ以上の幅なわけです。下がり方を見ていると、「もしや、また」と思うのも無理はないですよね。

居林:我々の目から見ると、悪いニュースが出て、それが市場に反映され、フェアバリューを通り越し割安になっている、という、投資には魅力あるタイミングに映ります。マーケットのシグナルは、利用するためのものであって従うためのものではない、と思います。

 「クリスマス暴落」というシグナルは 「市場は理性を失って感情に走っている」ということを意味しています。金融危機に繋がるリスクは、もちろんゼロとは言えません。しかし、非常に小さいと考えます。なぜなのか分かりますか。