詰まるところ、そろそろ山を越えつつあると?

居林:そうかもしれないと警戒し始めてはいます。悪い材料は、今はありません。前回お話しした、「世界の中央銀行の緩和が終わる」という動きはあるけれど、市場は思ったほど悲観的にならなかった。これは認めます。法人減税の効果、ハリケーン復興も効くかもしれない。ヨーロッパは景気がいい。中国もうまくいっている。これという腰折れ材料は今は見えません。

 先ほど、米国の失業率と日経平均のお話をしましたが、米国の景気サイクルの終わりは歴史的に言って2つだと思います。まず、インフレ進行対策としての利上げ、これはこの10年くらいはない。2006年の当時のFRB議長グリーンスパン氏の「根拠なき熱狂」発言と利上げが、リーマンショックにつながるサブプライム危機へのきっかけになりました。

 第2は、家計と企業の過剰債務、借り入れのやり過ぎです。経済のレバレッジが効き過ぎて、システムへの不安が起こる。別の国ですがアジアの通貨危機やロシア危機、メキシコ、ギリシャもそうですね。金融システムが不安定になってしまう。ネットバブルとリーマンショックはこれです。

台風は逸れた。来年も上天気、か?

 ここから見ると、米国のインフレ率はまだ2%以下、利上げへの動きへの反応も軽微、借り入れも過去に比べれば低水準。ということは、米国初の不況はあまり案じなくてもいいのかもしれない。リスクを挙げるとすれば、中国の理財商品でしょうか。拡大しすぎて当局が締め付けを始めました。絞めすぎると経済が窒息しますので、うまいことやってほしい。

 こんな感じで、悪い材料がない。霧の中で警戒していて、晴れてみたら、「あれ、台風は来なくて、いい天気じゃないの」。警戒していたので「あれ」となっているわけです。ただ、私は根本的な状況が変わっているわけじゃないと思います。GDPの成長はのんびりだけど、株価と債券価格は勢いよく上がっている。企業業績を上回って株価のパフォーマンスが伸びている。IoTなどへの投資もすばらしいものに見えるけれど、まだお金になっていない。これをどう考えますか、と。

どうお考えになるんでしょう。

居林:2017年は新興国の底入れの年にもなりましたが、強気の我々から見てもいいところに来た。お金の行き先がどんどんなくなりつつあるように見えるんです。2018年はどんな年になるでしょうか。歴史は同じようには繰り返さないが、韻を踏む、と言いますが、長年相場を見てきた立場から言うと大切な一年になりそうですね。

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