居林:それを区別するのは無理だと思いますが、ともかく「政府はお金を使うが、個人も企業も使わない。だから金利は上がらない。そこに中央銀行の量的緩和が止まったらどうなるか?」と、危機感を抱いていたら、まったくまったく新種のヒーロー、中国中心の企業の設備投資が登場したわけです。それと、米国の一部企業のAI関連を中心とした研究開発投資ですね。

 中央銀行が通貨を発行して、政府がお金を使って経済を支えるという構図から、それまで企業内に蓄えられてきた資金を企業が設備投資などで使うようになってきた。この要因が入ってきたことで、世界の投資家は安心しここまで株高になったと考えています。

新しい分野の設備投資が企業業績に効いて、株価を持ち上げている。

居林:はい。懸念していた危機は起きなかった。逆に予想外にいいことが起きた。さらには、これだけ日本も米国も失業率が低位になっているのにインフレにならないので、長期金利も上がらない。日本も米国も高値を更新し続け、債券投資家も株式投資家も、コモディティも上がって三拍子揃った。これだと投資家の見方は楽観論に大きく傾くことになります。

2018年は「この景気、いつまで続くか」の年

では、2018年はどうなると読みますか?

居林:好調な景気と企業業績が続く状況での、投資家にとっての大きな課題は「いつまで続くか」ですよね。アメリカの景気回復は2018年も続くとすれば、9年目になります。

確かにそうなのですが、景気がいい、という実感が薄いのも、我々の大多数が思っていることだと思います。

居林:それは大事な視点です。ちょっと詳しく見てみましょう。

米国のGDPの累積成長率で見た景気拡大(月数)
米国のGDPの累積成長率で見た景気拡大(月数)
ソース:UBS、Bloomberg
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 これは米国のGDPで見た、好況がどのくらい続いたのかを調べた図です。1991~2001年の、最後はインターネットバブルで終わる「ニューエコノミー」。120カ月、10年続きました。今回のサイクルは緑色の線ですが、現在は95カ月くらいで、史上3番目です。ちなみに第2位は1961~70年の111カ月で、2018年も景気拡大が続けば、これに並びます。

期間の長さは相当のものですね。

居林:ただし、ご覧の通り累積での経済成長の水準は低い。その分持続力はあるのかもしれません。「水準が低いからまだ行ける」のか。「期間が長いから終わる」のか。前述の半導体の投資などでは「スーパーサイクル」という言葉がマーケットからは聞こえてきます。 

 しかし、確かに現在の半導体サイクルはスマホ、自動車、IoTと複数のキラーアプリケーションが存在するという過去にほとんど例のない状態になっています。それはそうなのですが、インターネットバブルの時を思い出すと、企業も市場も楽観論に支配されている時には注意が必要だと思うことです。

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