ただし、いろいろ考えましたが、私はやはり「株価は企業業績の関数」という考えは正しいと思っていますので、来年6月に業績がマイナス圏内に入る、と考えると、先行きには慎重にならざるを得ません。

なるほど。では、3カ月前にお考えになったよりも現状が上ブレした理由は何でしょう。

日本企業の純利益伸び率と今後の予想
日本企業の純利益伸び率と今後の予想
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居林:確かに企業業績の伸び率(前年同期比)としては2017年3月期をピークにした低下傾向にあるのですが、私の集計では7-9月期は16%の純利益ベースの増益になっています。これは、もともと予想していた7%の増益幅よりもかなり大きい。これが今回の誤算の原因です。では、思ったより企業業績が良かったのはなぜか。理由はいくつかあります。

 主役は中国をはじめとする新興国です。中国では鉄鋼、化学、石炭への投資を国の指導で止めて、半導体、電子部品、電気自動車などの新しい分野に設備投資を誘導して経済の構造を大きく変えようとしているようです。だから鉄の市場が大きく戻って、日本もその恩恵を受けているわけですが、それはまあ余談です。

半導体製造装置売上高の月次推移
半導体製造装置売上高の月次推移
出所:SEMI & SEAJ
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 中国の投資増強、特に半導体関連のそれが、日本の関連メーカーの業績に大きなインパクトを与えました。TOPIX500の構成銘柄で過去52週間の上昇率上位10銘柄の内5銘柄までが半導体の設備投資関連です。2011年の投資サイクルを遥かに凌ぎ、2000年のITバブル時の投資サイクルと同じ水準の投資が出ています。ここまで大きいとは予想外でした。2018年にこうした半導体の工場が稼働した時に供給過剰を懸念しています。

中国の需要拡大、新興国の底入れが不安飛ばす

当初の予想(上)と、世界同時成長となった現状(下)
当初の予想(上)と、世界同時成長となった現状(下)

 しかし、もっと大きく見ると1年前に2017年を予想していた時の世界観が少し変わってきているということもあります。上の図が、予想を立てた時点での我々の世界観です。経済は量的緩和で支えられ、企業業績もそれに紐付いている。しかし、緩和はいずれ引き締めに転じるし、業績予想も円安の貢献がなくなることで伸び率が低下する。ゆえに注意が必要、なので株価は「下がったら買う」が基本でした。なので株価が急落した16年初と17年4月には買い場のコールを出したわけです。

今年前半は中央銀行の金融政策が量的緩和から離れ、経済と金融市場が不安定になる、というお話で、大変説得力を感じました。

居林:2017年の予想外の動きは、企業がほぼ10年ぶりに本格的に設備投資を始めたことです。ドイツの「インダストリー4.0」、中国の「メイドインチャイナ2025」、米国の「インターネット・オブ・シングス(IoT)」。分野で言えば半導体、電気自動車関連。中央銀行が経済の方向性を決める一番の柱だったのですが、これに企業設備投資という新しい柱が加わったのです(下の図)。これは評価に値することで、そのこと自体はポジティブにとらえるべきだと思います。

つまり、これは量的緩和とは別に発生した需要なんでしょうか。

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