居林:そこが難しいところです。基本的には、人の心理が一方に傾いた時には、マーケットは行き過ぎるということを覚えておくことが役に立つと思います。マーケットは変動し、人の心は移ろいやすいのは太古の昔から変わりません。今起きていることがそのためなのか、トレンドの変化かどうかを峻別する。もちろん難しいことなんですが、やらないとこの仕事をやっている意味がない。

 その際に大事なのは、現状の解説ではなくて分析です。現状を構築しているものをばらばらに分解し、根っこを掘り起こして、何が大きな要素で、何が取るに足らない要素なのかを分析するのです。

コンセンサスに対抗するか否か

居林:投資家は常に、「マーケットの状況が何を意味するのか」読み取るのでは無く、「マーケットの状況に対して反論・異論の余地が無いのか」を検討し、挑み続けるべきだと思います。みんなが下だと言うときは「ほんとうに下?」と。市場のコンセンサスに対抗し、目の前にないものを見ていく。センチメントではなく、構造の変化の方向性を考えるのが大切なんです。そうしないと思うような利益が上がらないと思います。そして、異論の余地があると見たら、採るべき意味があるリスクを取る。

 そうは言っても、各国の金融政策、中国景気の先行き、日本のインバウンド効果、円相場、考える要素は膨大じゃないでしょうか。

居林:大きいところから順々に片付けていきましょう。まず、世界の景気はどうか? リーマンショック以降の、2008年から13年までは回復傾向が続きました。そしてそれ以降、14、15年と横ばいです。先進国の景気に限れば、ほぼ現状がピークだと思います。

 はい。

居林:次に企業収益ですが、これもピークに近いと思っています。この図を見てください。

先進国(青)と新興国(茶)のEPS比較
出所: Bloomberg、UBS、 2016年12月

居林:先進国のEPSは、リーマン後一度ジャンプし、中央銀行の金融政策で国内景気が支えられて、ずっと高い水準に留まっています。一方、その助力がなかった新興国の企業のEPSは大きく下がって、リーマンショック後のどん底に近いところまで行きました。資源安もあって、下げはかなりきついものになった。

 先進国もリーマン後は下がるはずが、金融緩和で持ち上げられている?

居林:ええ。先進国、たとえば日本の量的緩和は、来年テーパリングに向かうと思っています。ついでに言えば、投資としてはむしろ新興国の方が面白みがありそうです。新興国と先進国のPERの差がこんなに開いているのは2003年以来で、割安感があります。