日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。
※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。

 うちのサイト、いま「シン・ゴジラ」で盛り上がっているんですよ(「シン・ゴジラ 私はこう読む」)。

居林:私はまだこの映画を見ていませんが、危機対応の話として面白い映画らしいですね。今回お話ししたいのは、日本の市場関係者の方々も、もうちょっと「危機」を意識すべきじゃないのかな、ということなんです。

 といいますと?

居林:シン・ゴジラの映画の後ろには、いまだ本質的な解決に至らない福島の問題がありますよね。一方、我々の近い将来には、米国をはじめとする世界の変化が起こりつつあると思っています。特に、米国の大統領選挙が、世界の金融市場に与える影響は大きい。

 トランプ氏が就任したら、ゴジラ並みの影響があるかもしれませんね。

居林:クリントン氏が勝つか、トランプ氏が勝つか、クリントン氏が勝てばひと安心…という話ではないと思っています。私は、どちらが勝っても米国は自国優先主義に転じて、グローバル化の逆回転が進むのではないかと危機感を抱いています。そしてそれは、日本や世界の経済に大きな影響をもたらします。…ということで、今回は、株価動向ではなく、マクロ視点のお話をしたいと思います。

 了解です!

スーパーヒーロー、中央銀行

居林:厳しい状況が続いているのに、日本も含め世界の金融市場関係者に危機感がなかなか生まれない背景には、明らかな理由があります。ウルトラマンばりのスーパーヒーローが、市場に存在しているからです。

 誰でしょう?

居林:誰かと言えば、それはFed、ECB、日銀です。

 米国の連邦準備制度、欧州中央銀行、日本銀行。米欧日の中央銀行ですね。

居林:このスーパーヒーローは、2008年のリーマンショック以降、「金融緩和」という、お金を市場にどんどん供給する必殺技で、いくつもの危機を救ってきました。私の計算ですが、ざっと800兆円くらい。8兆ドルを供給し、そのお金で金融市場から金融商品を買い上げて「金融危機」という怪獣をやっつけた。

 すばらしい。

居林:すばらしいですよね。金融危機を救う頼もしいヒーロー。ただし、ヒーローというのは、危機には来るけれど、平和になると帰ってしまうものですよね。

 それはそうですね。出演時間は番組のラスト近くと決まっています。

居林:いま、米国のFedがいの一番に帰ろうとして、みんなが全力で引き留めている。

 「利上げしないでね」と。

居林:そう。「ついでだから、この辺の景気も良くしてから帰ってよ」「…いや、それは僕の役目じゃないなあ」という感じでしょうか。あとは地球防衛軍にバトンタッチしたいんだけど、地球側としてはまだ帰って欲しくない。

 日本だったら、市場側はいまだに「黒田バズーカ、もう一発お願いしますよ」と。

居林:そう。ヒーロー側としては、「怪獣がいなくなったので、もう撃てませんけど」という思いでしょうね。