居林:しかし、これまではマイナス方向の要因が注目されてきましたが、このひと月あまりで、好材料も見直されています。市場の心理としては、いまは、プラスとマイナスの天秤が釣り合って、どちらかというとプラスに振れつつある、そんな状況だと思います。

好材料と言いますと。

居林:例えば、中央銀行が量的緩和終了のペースを緩めたり、セーフティネットらしきものを再構築するのではないかという期待。私はあまりいいことだと思いませんが。他には、日本の政治的安定もそのひとつでしょう。金融緩和の終了で、世界的に財政出動、財政政策がもう一度入ると見られています。といいますか、金融政策が一段落する以上、次は財政でやるしかない。

 日本企業の設備投資が去年から大きく出始めたことも挙げられます。ようやく始まったという感じですが、景気をプラスにする、とてもいい事象です。他に挙げるとすれば、日本の金融機関がリスクを取った融資を行っていないことも、金融危機が起こりにくいという意味ではプラスなのかもしれません。

中国は再びインフラ投資へ舵を切った

では、最大の問題であろう中国の好材料とは。

居林:中国は7月31日に、財政の健全化や高度技術への転換を目指してきた従来の方針を、内需拡大策に切り替える発表を突然行いました。中央銀行が、主要銀行に対して緩和的な融資を認めることにした、平たく言えば、省や主要都市の投資会社の社債を引き受けることによって、インフラや設備投資を認めようということです。

中国経済は高付加価値化を目指し、重複が目立つムダなインフラ投資を削る方針だったはずが……。

居林:「背に腹は替えられなくなった」ということです。長期的に見れば中国にとっては足踏みですが、これで景気鈍化への不安は後退しました。効果が数字として出てくるのは秋以降になりますが、そこまで来れば「中国経済はスローダウンしている」という雰囲気が停まる期待が出てきています。

マクロでは天秤がやや強気に傾き始めたと。では、日本株にはそれらはどう影響しそうでしょうか。

居林:これも前回と被りますが……日本市場の主役は誰か覚えていますよね。

日銀。あ、じゃなくて、海外投資家ですね。