恐ろしい。

居林:どうしてこうなるかと言えば、米国だけが景気が良くて、金利が上昇しているからですね。8月に入って日本経済新聞に、米金利上昇で新興国の経済運営が難しくなっていることを指摘する記事がいくつか載りました(「新興国債券 償還ラッシュ 年100兆円、返済に懸念 米利上げで負担増大」など)。

 金利だけでなく、PMI(※)でみても、米国経済が独りで調子がいいことが分かります。

(※:Purchasing Managers’ Index、購買担当者指数。企業の購買担当者への聞き取りによって、新規の受注、生産状況、雇用など、景況感について調査し、指数化したもの。50を上回り続ければ景気は拡大、逆に下回り続ければ減速を示すとされる。世界各国で集計・発表が行われ、同じ国でも調査の主体が異なる場合もある)

「米国一人勝ち」で世界経済は持つのかという不安

米国の景気がいいならば、世界にとっても基本的にはよいことのようではありますが……もともと、トランプ大統領が国内受けを狙って、景気刺激策をいくつも行ったことで、本来の回復軌道以上に景気が上昇して金利が上がっているんでしたよね。

居林:はい、ついでに言えば、保護貿易を行えば「これまで海外から安く輸入していたものを入れないで、国内で高く買う」わけですから、GDPもインフレ率も(少なくとも一時的には)上昇するのは当たり前、金利が上がるのも当然と言えば当然だと思います。

 一方で、もうひとつの大きなマイナス要因として危惧されてきたのが中国経済です。前回と重なりますけれど、米金利上昇は中国からも投資マネーを引き上げさせています。そこに、トランプ大統領が引き起こした貿易摩擦が絡んで。

先行き、お金が詰まるわ、商品は売れなくなるわじゃないかと。

居林:さらに中国が膨らませてきた理財商品のバブルが弾けるのではないかという。

バブル崩壊への懸念ですか。

居林:つまるところ、米国と中国のバランスがどうなるかがなかなか読めず、安心して株を買うことも、見切って売ることもできない状況なんですね。

 おまけに、日本銀行はまだ煮え切らない様子ですが、世界の中央銀行が量的緩和を終え、セーフティネットをたたみ始めた。そんな中で「米国さえ好景気ならば世界経済は大丈夫なのではないか」「いや、貿易摩擦と理財商品という2つの負の要素で中国経済が落ち込めば、世界中を巻き込んで経済がおかしくなっていくのではないか」という2つの見方が拮抗していた。そうかもしれない、そうでないかもしれない。この迷いで私も市場も立ちすくんでいた、ということです。