高温多湿で風が吹かない東京の空気のように、この夏のマーケットはまったく動きが無いようです。暑苦しさがつのるばかりですが、こういうときは落ち着いて物事を考えるチャンスかもしれません。

 いま、市場が注目している銘柄は、米国ですと新興テクノロジー銘柄。日本では一部の業績好調銘柄に買いが集まっているように見えます。

 言い換えれば、日米ともに呼称のついた一部の銘柄に資金が集中している、つまり、消去法的な選択になっていると理解しています。得てして、マーケットがこういう“頭文字”やバズワードに引かれているときは、用心した方がいいというのが私の経験則です。例を挙げれば、いまや懐かしい「ドットコム銘柄」。3年ほど前には「スマートベータ」、去年の年頭には医薬品関連が「ディフェンシブ銘柄」としてもてはやされましたが、今はどうでしょう。

 機関投資家の立場からすれば、動かない市場でも売買をしないわけにはいきません。無風のマーケットでは、動く銘柄がパフォーマンスを決めるので、持っていないと他の運用者に負けてしまいます。そうなると動く株は売れない。みんながそれに気づいてさらに買う。こうして一部の銘柄がマーケットを動かしていき、その他の株が動かないという状態が時として出てきます。

株式の「コリレーション」に注目する

 データも交えてお話ししましょう。下記は、TOPIX500の個々の銘柄の相関関係(グレー)と、日経平均株価(赤)の推移を示すグラフです。

TOPIX500の個々の銘柄の相関関係と日経平均の推移
左軸は銘柄間の相関関係で、上に行くほど関係性が低い。右軸は日経平均株価(単位:円)

 相関関係とは、どういうことかというと、銘柄同士が一緒に動いているのか、一部の銘柄だけが動いているのかを教えてくれるもので、相場の状態を知るうえで私は重宝して使っています。

 具体的には、TOPIX500の銘柄同士で500×500の半分、12万5000の組み合わせがあることになります。それらの相関係数を毎週(毎日でもいいですが)計算してこの数字を作り出しています。

 簡単に言うと、灰色のグラフが上にいくときは銘柄間の関連性が低く、各銘柄がばらばらに動いています。つまり、一部の銘柄が株価全体を動かしているわけです。逆に、多くの銘柄が同じ方向を向くと、相関が高くなるわけです。

 興味深いことに、上げ相場の時には相関は低くなることが多く(一部の銘柄が相場を牽引する)、下げ相場には相関は高くなることが多い(売られるときには多くの銘柄がいっぺんに売られる、金融危機が良い例です)。これは2000年くらいから言われ始めた話で、先にお話しした(「今、風は変わった。投資のチャンスです。」)、利益が出るときと、損失を出す恐怖に襲われたときとの違いです。