居林:そうすると「待てよ、最短でも離脱まであと2年あるじゃないか」と気付くし、そこに行くまでに大変な手間がかかることも分かってくる。そして、6月26日のスペインの下院総選挙で、離脱派寄りと見られていたポデモスの伸びが意外に鈍く、現政権側が議席を拡大しました。これは大きい。「どうやら、ドミノ倒しはすぐには起きないな」と思う人が増えていった。次のイタリアの国民投票は3カ月後で、その頃にはさらに事態は沈静化しそうだし、その先の選挙は来年3月のオランダですからね。

―― 霧が早々に晴れ始めたんですね。

居林:「英国のEU離脱」に悲鳴を上げかけた人たちは、英国経済、あるいはEU経済の失速を恐れているわけではなくて、そこからのワーストシナリオ、最悪の事態である「EUの解体」を連想してパニックになっていたのです。

―― なるほど。ではこの先、英国EU離脱に関しての「最悪シナリオ」は遠のいたということになりますか? 戻りはどういう経緯を辿るでしょう。 

「単なる過剰反応」の霧を抜けて

居林:今回の英国のEU離脱について投資家が見て取らなければいけないのは、世界の金融市場は現実の経済市場よりも強く結びついているということです。それは、世界の特定の地域の政治イベントや経済イベントに、本来なら関係が非常に薄い地域の金融市場まで反応してしまうことを意味しています。

 メディアでは、「リスクオフ」とか「リスクオン」とかいう言葉で解説されることがしばしばです。そうした解説でわかったような気になるのですが、よくよく考えるとただ単に「投資家が過剰反応している」ことが多いと思います。

 今回の英国のEU離脱の最悪シナリオは、EUの加盟国が次々に離脱する、というものです。メディアのヘッドラインには、EU崩壊の始まり、などと書かれることもあると思いますが、そうしたヘッドラインに反応するのではなく、過去の歴史的な背景や最新のニュースを確認しながら、霧の中に次第に浮かんでくる風景をいち早く見るようにしたいと思います。

 …ということで、ニュースと歴史書と、胃薬、ついでに時差対策のコーヒーも抱えて、霧の中を走り続けましょう。