―― この表を見ると、3年あれば、リーマンショックといえど値を戻す、どころか大きく上げているし、東日本大震災も、近いところでは欧州金融危機も同じ傾向なんですね。

居林:“経済危機”は、従来経験したことがない事態が起こり、「この先どうなるか基本的にわからない」と皆が考えるから危機になるんですね。株主の多くは、霧のまっただなかに立っているような心境に陥って、動くに動けない。しかし、“危機”でも最後には「落ち着くところに落ち着いたな」とか「あれ、思ったほど大きな影響はなかったのかな」となることが多いのではないか、ということです。時間が経って、霧が晴れてしまえば。

 でも、それを待っていたのではやはり投資で収益を上げるのは難しい。まだ霧が立ちこめている中、自分から「こっちだ」と判断して走り出して、晴れ上がる前に利益を稼ぐのが、投資家のあるべき行動ではないか、という考え方です。

―― どちらに走るのかを、どうやって決めるのでしょうか。

居林:それは、今現在のニュースや数値・チャートと、歴史から学ぶ「過去の経験」をもって決めるのです。過去の例を見れば、前述の3つの“危機”(ブラックマンデーからリーマンショック、そして東日本大震災)では、株価は「悲鳴」でオーバーに下げて、霧が晴れると以前よりも高値になっています。ですから、“経済危機”は、「基本的に分からない」というより、基本的にどうなるかは分かっているのです。でも、実際には悲鳴に反応して間違った動きをする人が多い。

世界は本当につながっているのか?

―― なぜそうなるかと言えば、「1:株主の数に比べて、実際に株を売買する人は極端に少ない」「2:その限られた人たちが悲鳴に煽られて判断を間違う」からでしたね。(「上限は1万9000円?日経平均縛る『4%』」参照)

居林:ファッションの流行に似ているかもしれません。自分で流行を作る、という人はほとんどいなくて、1%未満のデザイナーが「今年はガウチョ」と言えばガウチョ、「スカンツ」と言えばスカンツを買う。これと同じように「隣が売るから自分も売る」というのが、多くの“投資家”の行動なんですよね。そして、自国とは関係ない国の経済の影響で動いてしまう。

―― あれ、ちょっと待って下さい。グローバリゼーション以降、世界の経済は連動して、影響を大きく受けるようになったのではないですか。

居林:何をおっしゃるんですか。世界経済は繋がってなんかいませんよ。

―― え。

居林:たとえば2015年の日本のGDP、約500兆円のうち、約6割の292兆円が民間消費ですね。ほかに民間投資が約86兆円で約17%、政府部門が投資と消費で約125兆円で25%。これに対して輸出は89兆円、輸入は94兆円ですから、純輸出として貿易収支がGDPに与える影響は、89-94=-5兆円で、たかだかマイナス1%です。

―― ええと…どういうことなんでしょうか。