このほかのイベントにしても影響は必ず出るでしょうが、一度倒れたドミノは二度と倒れないのです。市場がその事実を呑み込んでしまえば、元に戻ります。パニックに巻き込まれず、下げすぎ、上げすぎの際に、的確に拾っていくことで利益を上げられるはずです。そもそも市場自体、放って置いてもボラティリティが年間で30%もあるのですから、これらのイベントの影響も、大きいけれどおびえるほどではないと私は思っています。

 台風は時々やってきますが、必ず去ってゆくのです。

 私の大好きな投資家、マゼランファンドのピーター・リンチ氏が次のように記していました。

「私がケイジャン株を買おうとした前日、有名なヘンリー・カウフマン氏が金利上昇を予言し、FRB議長がボウリング場で転んで背中を痛めたために、株式市場は15%も下落する。ケイジャン株も例外ではなく、私は7.5ドルで買うことになる。まあ、ざっとこんなストーリーが私の夢なのである」

哲学と胃薬を携えて

 お分かりですね。フラッシュで「FRB議長、負傷」とニュースが流れたら「不吉だ」「金融政策に影響が出るのでは」と、株価が下げたとしても不思議ではありませんよね。でも、議長が足をくじこうが腕を折ろうが、企業業績にはなんの関係もありません。よく考えるとこれは「不思議」なことだと思うのです。

 今回お話ししたことは、私の投資哲学です。なので、もちろん心から信じているのですが、本音を言えば実行するのは、言うほど簡単なわけではありません。

 いくら「今、市場は間違えている」と自分が信じていても、耳に入ってくるニュースや当面の株価の動きは自分の考えと逆をいくのですから、どうしたって胃が痛くなります。外から私をみたら「居林は暴走中だ」と見えることでしょう。

 それでもそこに行くしかないと、自分の哲学を信じて投資できるのが投資家だと私は思います。胃薬は手放せませんが。「企業業績の回復見通しと、買っても良い水準のPERという必要条件は整った。しかし上値を追いかけるような環境にはないので、十分条件が揃うのを待つ」というのが今の私の見解です。

 最後に、現状を「天気予報」的に要約しておきましょう。

 株価の必要条件である企業業績は順調に伸びてきました。しかし、この晴天は円高という雨で台無しとなりました。この先いくつも控えているイベントがさらに雨を降らせるのか、あるいはスカッと晴れるのか。その予想はまだつきません。でも、着実に晴れの日は増えつつあります。あとは、いつ十分条件が揃うのか待つばかり。さて、新しい胃薬を買っておきましょうか。

この記事はシリーズ「市場は「晴れ、ときどき台風」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。