スポーツの試合といっしょで、自分が出場していない試合を見て理解するのと、自分が実際に出場して思った通りに動けるようになるのとの間にはかなりの違いがあります。株式投資の場合には、証券口座に口座を開きお金を振り込んで売買指示を出せば、市場に参加することができます。やめるにしても、保有ポジションを全部売却してしまうだけなら簡単です。

 しかし、売買するだけでは「場数」を踏んだことにはならないと思います。常に、買う理由も、売る理由も探せばいくつも見つかります。よって、買う理由を(もしくは買わない理由を)探すだけでは十分ではないのです。市場で他の投資家が考えていることを理解し、株価の変化を解釈し評価し、自分の投資判断を下す、これが「場数」を踏むということだと思います。

大事なのは「日誌を付けて振り返る」こと

 もっと大切なのは、そうして下した自分の投資判断を記録しておくことです。私の知る多くの投資家、ファンドマネージャーの方は、自分が実行した投資、そして「実行しなかった」投資についてメモを残しています。そうです、見送った投資アイディアについても、その後どうなったかをチェックすることは非常に大切です。投資しない、という投資判断も一つの重要な投資判断であり、決断の多数を占めるはずだからです。

 見送った投資判断の中には、見送ってよかったものもあれば、やっておけばよかったという結果もあるでしょう。しかし、重要なのは「なぜ見送ったのか」「なぜ買ったのか」を考えること。そこから、分析というサイクルに入ります。

 そのために私は毎週日誌をつけています。大体金曜日の夜か、土曜日の朝に書きます。その時考えていること、見えているもの、見えていないもの、今後の展開を左右するものに対する評価などです。株式投資家に必要な分析思考については次回以降でお話ししますが、私のプロセスは、「市場で成立しているロジックを分解する」「要素を差で比較する」「評価する」「自分のロジックに組み直す」というサイクルを辿ることが多いです。この「要素を差で比較する」というのがキーになるのですが、今回はここまでにしたいと思います。

 3月の中旬の水準まで日経平均は戻ってきましたが、大きな要素は動いていません。一試合終了と見ます。また明日から新しい試合が始まりますので、日誌もページを新しくしてスタートします。

■変更履歴
本文中の図2のグラフを、投資を推奨した時期である4月14日時点のものに差し替えます。 [2017/05/13 12:30]

この記事はシリーズ「市場は「晴れ、ときどき台風」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。