ここでは、わかりやすさを優先するため日経平均株価を使っているので、少しPERは高めに出ていますが、TOPIXでは13~15倍程度でこの青と赤の線はフィットします(理論的には、適正PERは想定投資期間における業績の伸び率と金利の関数ですが、そもそも業績伸び率の予想が期中で変動するので、厳密な議論はここでは割愛します)。

最大のプレーヤー、海外投資家の目線でPERを見る

 現在、米国市場の12カ月先のPERが15倍程度で過去のレンジも12~15倍程度ですから、このくらいが海外投資家から見て「割高感はない」と感じるゾーンだろうと思います。

 アジアを見渡すと、11~12倍の香港市場、シンガポール市場などがあり、欧州市場も12~14倍程度です。 日本の株式市場における取引量の60~70%程度は海外投資家によるものですから、彼らが納得するPERが適正PERになる、と考えてもいいでしょう。世界中の市場をマネーが巡るようになったので、価値観も世界中で収斂しつつあるわけです(バブル期は、東証のPERが70倍とかになったものですが)。

 理屈はそういうことですが、実際に使う際の問題として、赤い線の上下を株価が行ったり来たりしていないのであれば、株価の割安、割高判別ツールとして意味がない。ですから、「赤い線と青い線をフィットするように合わせる」という部分はあります。

 しかし、うまくフィットする位置を求めると、適正PERを13~14倍程度にセットすることになるのです(TOPIXと日経平均では、フィットする場所が1~2倍程度違います。これは、TOPIXが「時価総額加重平均」、日経平均が「株価加重平均」という違いがあるためです)。

 「海外投資家が増えてきたので、彼らの投資目線で見れば、業績に対する適正なPERは、東証も他の先進国の市場と大きくは違わないだろう」という考え方には、ある程度の確証がありそうです。

プレーヤーと株価、どちらが正しい?

 では、このグラフをどのように使うのか?
 私は、マーケットで市場参加者の方が言っていることと、現在の株価が言っていることを比較するのに使っています。

 株価がトレンドラインから大きく外れる時には、「何かおかしいことが起きている」と私は考えます。そして「過去に同じようなことがなかったのか、 もし、あったとすれば結果はどうなったのか」。 これを、グラフを遡って調べることができます。

 歴史的に見ると、「PER13~14倍」という数字がガイドラインとして使えるようになったのは、取引量の多くを海外投資家が占めるようになってからですので、ここ10~15年くらいです。

2000年代の日経平均とEPS(1株当たり純利益)の推移
注:縦軸はEPSの倍率(編注:このグラフでは本文に出てきた「PER」ではなく「EPS」、1株当たり利益の数字を用いています。PERは銘柄の入れ替えや増資の影響を受けるので、長期間のデータを取る際には適さないためです。TOPIXとEPSに連動するトレンドが見られれば、PERは株価/EPSで求めるので、PERとも連動することになります)