居林:ですが投資家たるもの、これを理解し、付加価値の源泉にしなければなりません。ちなみに申し上げれば、現状で利益が出ている人が多ければ多いほど、相場は下げやすくなります。

 なぜでしょう?

居林:答えは単純で、売りやすいからですね。ちょっと下げたら「まあ、利食いのタイミングかな。利益が出ている(買値を大きく上回っている)から、売っておこう」と、心理的に負担なく売れる。損失が出ている人が多いなら、「こんなことで売れるか、そんなニュースは関係ない」と突っ張りますから。

 株価は、長期の企業収益には関係ないニュースで短期的にブレます。やっかいなことに、株価には常に期待値が入っているので、そのニュースが期待を裏切る方向だと大きく動きやすい。本来ならば、トランプ氏の政策、インフレの影響、中間選挙、アベノミクス、人手不足、AI…といったところが株価のドライバであるべきなのですが、それ以外の多くの要素が株価を動かしているし、言い換えれば投資機会を作り出すことが多い。

 それでは、今回の下げは?

日本株に短期的な上昇局面が

居林:今回は、本来なら株価には関係の少ない(つまり短期的な)材料である、北朝鮮情勢やフランス大統領選などに株価が反応しています。一方、長期で見ると、消費者物価指数予想の上昇米国金利の上昇を予感させる出来事があり、FRBは連邦準備制度(FED、米国の中央銀行)のバランスシート(BS)の縮小を検討しはじめました。どちらも、我々が思っていたより速い舵の切り方です。

 つまり、居林さんが考えていたより速く、ドル高になる可能性が増している?

居林:はい、長期的に見てドル高になる材料が出つつあります。これは日本株にとっては上昇する材料です。しかし、本来は株価に影響がないはずの短期的なマイナス材料が影響して株価が下がっている。

 先月お話ししたときとはまるで逆の状況です。変化が思っていたよりずっと速い。「これは、来る」と思ったので、今回は早めに修正しておきたいと考え、お話したわけです。いま(取材時点)18300円。ここからは、ゲリラ戦でもう一度入り直せます。我々の予測は、インフレがそこまで強いと思っていなかった。BS縮小もこんなに速いとは。

 しかし、逆に、投資家にとっては興味深い状況が来たように思います。

 そうなのですか。

居林:これで1万8000円を下回ると、実に魅力的な市場になるのですが。とはいえ、今回は「短期的に」面白い相場です。

 日本株の「買い」を必要条件と十分条件に分けますと、必要条件は「PERの低下」「ドル円が110円以下(円安)」だと思います。これは満たされつつあります。

 必要条件…「他にもあるけれど、証明に必要な条件の一つなのは間違いない」というやつでしたっけ。

居林:そして十分条件は「外国人投資家の買い」と「国内企業の利益率向上」です。

 十分条件は「これを満たせば証明するに十分」な条件ですよね。

居林:ええ。外国人投資家は年初に大幅に売り越しているので戻ってくる可能性はありますが、企業の利益率向上はまだ見えません。合わせて考えますと、買う状況が整ってきて、あとは利益率の向上(それには現状、円安が必要です)、ということになります。こういうことから、「誰が見ても買い」には至りませんが、マイナスのオーバーシュートが発生しつつあるので、いいエントリーポイントになってきた、と見ます。

 今年のマーケットは、おそらくこうした「短期的なオーバーシュート」が続々と起こって、市場は頻繁に振れるでしょう。過去の経験から年間の上値下値の変動幅は2割ありますが、今年はまだわずか6%ですからね。ここから、ロデオのように乗りこなさなくてはいけません。

この記事はシリーズ「市場は「晴れ、ときどき台風」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。