マーケットタイマーとしての5つの原則
居林:最初に、私の投資原則をまとめておきます。5つあります。
1:株価は他人が決める(参考:「大荒れ相場? いえ、これって“普通”です。」)
2:投資家間には情報の非対称性が存在する(「上限は1万9000円?日経平均縛る「4%」」)
3:マーケットは、短期の材料と長期の材料を区別できない
4:投資チャンスは偏在する(投資は“トランプ旋風”に乗るか、逃げるか?)
5:すべては確率である(「個人投資家は今のマーケットに参加する必要なし」)
株価は少数の市場参加者が決める。しかも投資家間に情報格差がある。そして、長短のニュースに区別を付けず双方にまとめて反応する。このため「間違った」株価、オーバーシュートが生まれます。投資のチャンスはその間違った株価が「下値がなくて上値がある」時期に生まれるわけです。ということは、投資チャンスは個別銘柄では常にあるかもしれませんが、マーケット全体では「ある」ときと「ない」ときがある。
はい。
居林:企業の価値が時価総額だとすれば、それが1年間で何割も変わるわけがないのに、たとえば東京市場の平均株価は上下2割くらいは平気で毎年動く。それは、1~3による投資家の心理的過剰反応から起きる。ここが投資家として理解すべきポイント、ゲームのルールです。そして、これはオーバーシュートなのか、なぜオーバーシュートが生まれたのかを自分なりに考え、間違っていたときの対応を考える。そんな話をしてきたつもりです。
市場は「長短」の区別が出来ない
この中で、「3」はまだ伺ったことがないですね。マーケットは長短の材料を区別できない、と。
居林:はい、今回はまさにこの話が主眼となります。
今回の下げは、長期的に影響が出てくるニュースと、目先のニュースの区別が出来ずに、同時に現在の株価に織り込んだために起きています。
“投資家の一部”がそう判断して売りに動き、全体が引っ張られているということですね。
居林:ドル円のお話から入りましょう。現在、為替は昨年12月の118円から108円台まで円高に振れている。トランプ政権誕生時、私の見方は「円高になる」でした。市場の大勢は「トランプ政権の政策は利上げ、それは円安ドル高を呼ぶ」でしたが、「トランプ政権の政策はアメリカファースト。日本企業のプラスに手を貸す理由は殆どない」と考えていたのです。
利上げ自体、そもそもないと思っていましたがこれは外れました。しかし、この時点ですでに利上げを長期金利が織り込んでいるので、米国債の10年金利は全然上がりません。よって為替も円安にも動きませんでした。
そうでした。
居林:そうして、この後に何が起きたか。トランプ政権はシリアに巡航ミサイルを撃ち込み、北朝鮮にも軍事的圧力をかけ始めました。
こういう展開になるという予想は…。
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