居林:株価=企業収益には影響しない、より正確に言えば影響を起こすかどうか分からないのに、投資家の心中にパニックを起こすんですよね。政治絡みだと、メディアの見出しになりやすいことも大きいと思います。ヘッドライン効果とでも言うのか。それを読んで「やっぱり大変だ」とパニックが助長される。

 3月22日のUBSのハウスビューが「ゴルトン盤」というタイトルで、こう書いています。(※ゴルトン盤とはどういうものかについては、こちら→Galton Board

 トランプ大統領の保護主義的政策を扱っているメディアの大半は、今回の政策を「ロシアン・ルーレット」であるかのように報道している。つまりこのゲームから得られるものは何もなく、大打撃を受けるリスクがかなり大きいというのである。しかし現在の状況を例えるなら、我々は「ロシアン・ルーレット」というよりも「ゴルトン盤」に近いと考えている。現時点では「保護主義」というボールが落ちたばかりで、多くの不確定要因が明らかにならない限り最終的な結果が分からないからだ。

居林:まったく同感で、外交、政治イベントは好影響か悪影響か、どちらに振れるか分からない。トランプ政権は特にその傾向があるように思います。

 政治イベントの多くは、投資家にとって株式市場から逃げる理由になるんです。好影響を受けるのか、反対に悪影響を受けるのかすぐにははっきりしないし、だいたいにおいてマーケットが織り込んでいることなんですが、深刻に捉え直すきっかけになったりして、売りが売りを呼ぶ。

「アベノミクス」は経済イベントだったはずが

 「市場が間違えている時に逆を行く」という居林さんの投資スタイルにとっては、まさに買いのチャンスですね。

居林:はい。投資スタイルは長期か短期か、バリューかグロースか、順張りか逆張りか、などいろいろありますが、大事なのは「自分は今、このタイミングで投資するか、しないか」を「なぜならば」と言えるかどうか。投資哲学があることです。大勢に流されるならそれは投資哲学とは私は言いたくない。自分自身は、プラス、マイナスのマーケットの行きすぎを利用して確度の高いリターンを取るのがスタイルで、モメンタムは気にしません。ですから、多くの人がパニックになる政治イベントは、投資チャンスになることが非常に多い。

 一方で、経済イベントは企業業績や金融システムに大きく影響するので、投資の大きなチャンスだと言えますが、判断を誤ると本当にダメージが増大する可能性もあります。1997年のアジア通貨危機、翌年のロシア、メキシコ危機、サブプライムからのリーマンショック、ギリシャの国債デフォルト、などなどです。

 今回の下げは政治イベントだ、ということですよね。

居林:はい。それを外国人投資家が、経済イベントだと読み違えたことが、先週末の急落の背景だと思います。

 ええと、それは「アベノミクス」そのものが政治イベントであって、経済イベントではない。そういうことですか?