遅くなりまして。

居林:ちょっと遅くなりましたね(※インタビューは3月27日)。投資の大きなチャンスだったのですが。とはいえ、まだ間に合います。

 市場というのは短期的にプラスにもマイナスにもパニックを起こすわけですが、それがパニックなのか正真正銘の危機なのかをどう判断するのか、というのが今回のテーマです。特に、政治イベントと経済イベントの区別について触れたいと思います。

 えーと、3月23日金曜日からの下げ相場のことですよね。安倍晋三総理の森友問題による退陣の恐れ、トランプ米大統領が引き起こそうとしている米中貿易戦争に保護貿易の台頭の恐れ、と悪材料が相次いで日経平均株価は2万1000円台割れ、974円安、と。

居林:はい。すでに株価は戻しつつありますし、私は今は買い場だと思います。以前から何度も申し上げているように……

 株価は企業収益の関数。

居林:そうです。現状はその線を大きく下回っている。ですから、下値が限られた状態と判断して短期的な買い場が来たと考えます。

 居林さんはいつも「政治的なイベントは株価に長期的には影響しない」とおっしゃっていますね。

居林:はい。

 それを学んで、実は今回も冷静にニュースを受け止められたのですが、そもそも、なぜ影響しない考えているのでしょうか。

「政治イベント」は株価や経済構造に影響しない

居林:パニックという言葉を使っていますが、具体的には、株式市場が状況判断を大きく誤ってしまい、それに対して他の投資家が修正の売買を行うのを恐れる、ということでしょう。政治イベントというのは、そのような混乱状態が最も容易に起きうるイベントだからです。

 しかし、単独の政治的なイベントというのは、過去を振り返っても長期的に株価や経済構造を大きく変えた例というのはほとんどないと私は理解しています。

 早い話が2016年のブリグジット(Brexit)です。

 英国のEU離脱は金融市場にとって大きな衝撃だったわけで、実際に、2016年6月から8月にかけて株式と為替市場は混乱しました。しかし、その後株式市場もポンド相場も大きく上昇しています。

 ブリグジットがプラス材料である、と思う市場参加者はまずいなかったと思いますから、英国のEU離脱を決める国民投票に対する警戒感、そしてその結果を受けた混乱が、市場参加者の「一部」が安い価格でも株式を売ろうとするという一時的な現象を作り出したわけです。

 それが今どうなっているかといえば……

居林:実際にはどうなったかというと、英国のEU離脱が選択されてもその後の交渉に数年かかることから、市場参加者の関心は薄れました。また、その後の企業収益にはあまり影響せず、逆にポンド安と欧州経済の回復で英国企業の業績も回復したのです。

 とはいえ、ブリグジットで株価は一時暴落した。政治イベントには「一時的に」株価を大きく動かす力はある。