居林:もちろん私が間違っていることも十分考えられるので、これを読んだ投資家の方の個人責任、という前提でしか言えませんが…わたしなら引きます。ということで、前回お約束した撤退戦のお話もしましょうか。

 撤退戦の戦い方は2通りです。一気に逃げるか、反撃しながら逃げるか。スタイルは人によりますが、共通するのは「引くなら速いほうがいい」。

 私は、一気に脇目も振らずに逃げる派。「間違えた」と思った瞬間に走り出して、全部引いてやりなおします。間違えたときの撤退はすみやかに。逆に、攻める、ポジションを構築するときはゆっくりやります。

 なぜでしょう。

居林:株価は下がるときが速く、上がるときはゆっくりだからです。株価が下がると、誰かが売り投げる。それによって残りの人も影響を受ける。

 第1回でお話しいただいた、1%以下の株主が動いて株価を決めて、99%の人はその影響を受ける、でしたね。

居林:しかも、それまで利益を上げている株主ほど早く売りたくなるので、あっという間にみんな売りはじめる。上がる方はじっくり構えていても間に合うけれど、損切りは速く、すみやかにが、たぶん正しいです。

 私たちは、いま(3月下旬)時点で、「ドル円はもうちょっとだけ円高になるし、日経平均はもう少し下がる」と思っています。そのうえでお聞きいただきたいのですが、今、もし「失敗した」と思われているなら急ぐほうがいい。まだ年初来の3%かそこらの上昇分が相殺されただけですし、市場は指数で20~30%も動くのですから、リカバリーのチャンスは今後いくらでもあるわけです。あ…。

 どうされました?

撤退戦のあるある、極端なリカバリー策

居林:撤退戦のときにありがちなのが、「極端なリカバリー策」に打って出ることです。

 つまり、敗戦の後、よりリスキーな賭に出る。ああ、ありそうです。

居林:それで取り戻すことができる方もいるでしょう。でも、負けたからといって自分のリスクとリワードの考え方、立ち位置を変えるのはおかしな話なんです。例えば、「自分は株式で6割打者、半分以上は当たる」と思っているなら、それを信じましょう。確率として4割のほうが出続けても、何回でも同じリスクリワードでさいころを転がしましょう。過去、安定して勝てていたなら、いずれ戻ってくるはずです。

 確率上、負けることはあると分かっていても、その時に喰らうダメージがでかいと、つい「極端なリカバリー策」を試したくなりそうですよね。

居林:ええ。でも、前回「統計的に見れば、マーケットは常にプラスマイナス五分五分」と申し上げましたよね。その中で五分五分のうち6割、7割当たると思うのなら、同じやり方でやらないとおかしいんです。リスクウェイトを変えて「もう株はやめた、債券しか買わない」という方もいますが、市場が上がったころに戻ってきます(笑)。

 ちなみに、勝率が五分五分以上にならない方は?

居林:趣味ならもちろんかまいませんが、プロの投資家としては、他人に任せることを考える時期。ですね。この3カ月は、「参加したいけれど、いまは待ち、“見”だ」と、プロとしての心構えを鍛える、格好の基礎トレ期間だったのかもしれません。

 念のため申し上げますが、相場は水物ですので、毎回当たる人はいません。私の相場見通しも逆に行くかもしれません。ここで申し上げたいのは、投資家として最後はご自分の判断で投資を行うようにするということが一番大切だと思います。