日経平均の高値と安値の差
暦年ベースで年初来高値と安値の差を平均と比較。出所:UBS

居林:これは簡単で、売る人も買う人も決断が難しい、つまり「手がかり難」です。しかも、売れば日銀が買いますから。

 グラフをご覧いただきたいのですが、株式指数というのは年間で安値と高値の差が20%から30%程度あるのが普通です。しかし、今年は年初から3か月たちましたが、まだ4%程度しかありません。

 この後の相場の動きは大きくなりそうです。株価と企業業績予想の重ね合わせグラフからみると、日経平均は19000円を超えた水準では十分評価されているので、下がるときがあるのではないかと思っているのは、昨年末から申し上げている通りです。

 売る方も買う方も積極的な理由がないし、売りが出れば拾われていく。

居林:2月の売買を見ると、外国人が売って、日銀が買って相殺されています。今の日本株市場は外国人投資家が買わないと株価は上がらない。彼らは「上値はこのくらいかな」と思ったから売った。その分を、日銀がETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託、現物株を直接購入できない日銀が利用する)の買いで支えたと考えています。

 日本株に限らず、世界的に見渡しても確たる投資テーマがありません。日本は、ちょっと前はインバウンド、コーポレートガバナンス、円安、オリンピック関連と盛りだくさんでしたけれど、今年はテーマが本当に少ない。「働き方改革」のテーマで何を買えばいいのか、難しいですよね。「自社株買い」のテーマがもう少し続くかどうかというところです。

 その中でも「円安で日本企業の業績が上がる」という期待が大きかったわけですが。

居林:ええ。我々は前回お話しした通り、トランプ政権はドル安政策を採るはずと見ていました。現状はそのとおりで、為替相場はいっこうに円安になりませんね。

米利上げもドル円相場には影響なし

 あ、お聞きしちゃいますが「FRBの利上げはない」と仰ってませんでしたか。

居林:はい、2月10日の記事で「米国金利上昇による円安を期待する方もいますけれど、金利を上げれば米国の景気が冷えますから、トランプ政権はそちらには向きにくい」と申し上げました。しかしFRB、より正確に言えば連邦公開市場委員会(FOMC)は、3月15日に3カ月ぶりに利上げに踏み切りました。

 こんなに早く利上げがあるとは見ていなかった。ごめんなさい。でも、アメリカの10年債金利は上がっていない、それどころか逆に若干低下しています。日米金利差は十分開いているので「ドル高(円安)にはならず、アメリカはドル安政策を取る」という予想は変わりません。そして、現状がそれを裏付けています

 実際に景気に対して重要な市場金利、代表例で言えば10年債(米国債)の価格が低下(金利は上昇)してくれば私たちの負けですが、そうはなっていません。市場は利上げを織り込んでいた、ということですね。

 では、なぜFOMCが予想外の早期利上げを行ったかと言えば、雇用統計がよいことなどの条件が整っていて、しかも、利上げにネガティブなトランプ大統領が理事を送り込んでくることを鑑み、「中央銀行として、年内に1回は利上げせねばならない。そしてその責務を果たせるタイミングは今しかない」と判断したんだと思います。これが私たちの見解でありまして、今年、これ以降金利が上がる可能性もありますが、金利、為替、そして株価への影響は小さいと考えます。

 景気への配慮ですね。でも、ということは株価も上がる、あるいは下がりにくいという期待が持てるんじゃないですか?