居林:12カ月先のコンセンサスの企業業績予想は、去年の総選挙のあった10月時点から直近の予想にかけて純利益で4~5%切り上がっています。これが短期的な株価水準がやや下げすぎではないかと思う根拠です。

 つまり、株式市場は海外要因で急落し昨年の選挙前の水準に戻ったものの、業績予想はその時よりも4~5%高いとなれば、株価は短期的には高すぎる期待値が剥落して、下値は限られている、と見てよいと思います。

なるほど。

居林:さて、ここからはもう少し長い目で見た日本株の見通しをお話ししたいのです。「今の時点で株価は、割安なのか、割高なのか? という話をここ1年ほどしてきました。しかし今回は、これからが企業業績の大きな転換点だと思うので、その点に注目したいです。

 最初に少し会計的にややこしい話をせねばなりません。今後12カ月の企業業績の「伸び率」は、直接の業績とは関わりのない理由で、大きく下落して見える可能性があるのです。

それは、特別利益/損失、のようなお話ですか?

居林:それに近い話です。ちょっと前の例としては16年3月期の決算です。原油など資源価格の暴落で、コモデティ関連の企業決算が悪化したのです。持っている資産の価値が下がったということで、会計上の資産価値を引き下げる「減損」という措置を取ったためです。この反動で17年3月期は大幅増益になり、連れて株価も下降・上昇しました。

 あくまでも一時的な利益の変動であり、将来の企業価値を大きく損なうものではないと個人的には考えますが、株式市場は(特に東京市場の株価を左右する外国人投資家は)、表面上の数字の変化を強く意識して、業績予想の変化に(短期的には)非常に敏感に動きます。

すると?

今期は高いゲタを履き、来期は脱ぐ

居林:17年の10~12月期の決算は絶好調で、我々の予想を大きく上回っていますが、この多くの部分は米国の法人税切り下げの影響です。すでに出ている数字では、トヨタが2017年10~12月期の純利益が2919億円押し上げられると発表し、ホンダも同期に3461億円の増益要因になるとしています。

めちゃめちゃ効きますね。これは、払うはずの税金が減ってその分利益になったということですか?

居林:一言で言えばそうなります。この点は純粋に会計上の話なので、簡単に説明すると、デファードタックスリライアビリティ(DTL、繰り延べ税金負債)として、将来払う税金をバランスシートに載せていた企業は、減税分の金額は積み立てなくてよくなったので、負債を取り崩してその分を損益計算書に利益として計上した、ということです。しかし、これはあくまでも2017年10-12月期のみに出てくる一過性の利益で、逆に1年後、次の10-12月期にはその利益はなくなりますからマイナスに見えるわけです。

要するに、本業の収益には無関係だと。でも、見た目の業績数字が「めちゃめちゃ」良くなる。