居林:というわけで、現在の市場では少数派になりますが、私の判断は「利益確定」。少なくとも買いではない。

ひとつお聞きしたいのですが、ここまで聴いて「下がるから買うな、というけれど、下がる前に売ればいいじゃないか」と思う方も多いのではないでしょうか。

居林:おっしゃるとおりです。高いときに買って、もっと高いところで売る短期トレーダー的な手法ももちろんあります。長年この世界にいますので、信じられないくらいの才能を持つ、まさに天才を何人か目にしました。「株価が上昇し始めたところで乗って、天井につく前に降りればいい」という理屈も正しい。できる、と思うならどうぞ、わたしにはそういう才能がないのでやれません、他の方にも勧めません、というお話です。

 私のようなバリュー投資か、グロースか。「長期的に生き残れるのは全員バリュービレッジの出身だ」とウォーレン・バフェットが言ってまして、私の好きな言葉なんです(笑)。

 別の分け方をすると、投資哲学として、コントラリアン(逆張り)、波乗り(順張り)、両方(スイッチ)という分け方もあります。運用会社で25年の経験がありますが、長い目で見ると、私はコントラリアンですね。それも、強い馬のオッズがいいときに賭けている。懐かしの「クイズダービー」で言えば、はらたいらさんがたまたま調子が悪くて、倍率が上がったときに賭ける、みたいな。

篠沢教授が20倍、には?

居林:絶対行きません。冷静に考えれば当然ですよね。でも、「投資は行動」なので、目の前の20倍に釣られるのです。そこで釣られないために哲学がいる。

投資は10年単位の勝ち残り戦

なるほど。ところで「長期的に生き残れるのは」という、長期とは何年くらいですか?

居林:私は、長期というのは10年単位だと思っています。株式投資を仕事としてやるなら10年勝ち続けねばならない勝ち残り戦。参戦自体にコストがかかるので、それを上回る利益を上げられるかどうか。10年平均して勝ち続けないと意味がない。

 先ほど見て頂きましたが、日経平均のヒストグラムを長期で取ると、きれいに正規分布になるんですよ。過去10年、266週でプラスマイナス。きれいに対象形になります。もちろん、時には行きすぎたブラックスワンの日もあり、そこだけをみんなが覚えている。1998年に破綻したLTCMもその点では正しかった。

ロシア通貨危機が短期で収まると見越して投資したんでしたっけ。

居林:はい、長期的には正しい予測でしたが、レバレッジをかけ過ぎて予測が実現する前に破綻してしまいました。統計的異常値に注意し、逆張りしてもいいが全力でかけず、アベレージの世界に住んでいることを忘れずに、というのが教訓でしょうか。マーケットは明日もある。「今日は撤退でいい」と決めるのが大切です。

そういえば、居林さんの「撤退」についてのお話はまだお聞きしていませんね。

居林:撤退、利食い、損切りをどうするのか、は大きなテーマです。昨年は、いつマーケットに入るのか、の話を良くしました。この後は出方ですね。どう出口戦略を執行すべきか、そして我慢するべきか。次回にお話ししましょうか。最後に一言。売った後も上がるともう一回買い直したくなるんだけど、そこはぐっとこらえてください。