居林:天気ならば分かりやすくても、相場は、みんながハッピーになっていると「自分だけ乗り遅れているのではないか?」となって、自らの哲学で決めた通りに行動するのが難しい。

 それに、株価が上がっていると売り急がない。なぜか。幸せな気分が続き、そこに「所有する喜び」が生まれてしまうんです。これが下げ始めてから売るときは逆になって、「こんな株、持っていなければよかった」となって、一部の人が売ると、他の人が引っ張られ「人より先に売ろう」になるのですけれどね。

そこから解脱して、哲学で判断するには。

居林:繰り返しになりますけど、株式は、「リスクという代金を払って将来のリターンを買う」ゲームに参加するためのチケットだと考えることでしょうか。なぜ参加したのかと言えば「この程度のリスクを負うが、ここまでのリターンが期待できるから」ですよね。

リスクまで計算して買うのが正しい

あっ、「儲かるから」じゃダメなんですか?

居林:買うときに、リスクとリターンがどの程度なのか考えないのは、「真冬にTシャツ」ですよ。

 「XX%のリターンを期待できる、なぜならばこれらの理由が」ということはみんな言えるのです。でも、「それにどんなリスクがあるの? うまくいかないとどの程度の損になるの?」を言う人はまずいない。たとえば「配当があるから株価が下がってもマイナスXX%で済みます」などと言えれば、これは「下値がなくて上値がある」よい投資なんです。リスクとリターンを買う、というのは、上値だけでなく下値まで考えて買うことです。

なるほど…。ところで、いまの市場は春夏秋冬のどこでしょう?

居林:要するに、その時期の下値と上値が分かれば季節が分かります。もちろんどこかに書いてあるわけではなくて、そこを自分の哲学、私の場合は、企業業績をみて季節を予測するわけですが。

 今は、冬に向かっていると思います。企業業績のトレンドに大きな変化がない状況で、トランプ政権による米国自国主義の台頭は世界経済にとってマイナス要素にもなりかねない、と私は考えているからです。従って、いかに暖かい日があっても、ダウンを脱いでTシャツになってはダメです。

 前回の繰り返しになりますが、トランプ氏は米国の景気を最優先する、いや、せざるを得ない大統領です。たしかに米国景気はよくなるだろうけれど、そのために世界経済は大きなダメージを受け可能性がある。米国金利上昇による円安を期待する方もいますけれど、金利を上げれば米国の景気が冷えますから、トランプ政権はそちらには向きにくい。

 いまダウンを脱いでいる方は、トランプ政権が(米国の)景気を良くすることを過剰評価し、それしか目に入っていないんです。もっと大きな視点で見れば、米国は景気回復が10年つづくスーパーサイクルの中にあります。結構なことですが、株価が上がっているということは、リスクの値段が高くなり続けている、とも言えますね。

じゃ、下がる前に売れば?

つい、上昇局面だと悪いことが起きないような気がしますが…。

居林:みんながハッピーになっているときにこそ、起こり得るリスクを見なければいけません。「起こり得るリスクの可能性は大きく変わらない」のです。低下しているように見えるのは感覚によるマジック、簡単に言えば慣れです。

 聞いた話ですが、釣り堀で釣られたお魚は、元に戻してもしばらくは懲りて餌を食べないそうです。ところが、2週間もするとまた釣られるんだとか。

ああ、よく分かります。