居林:今は大切な時期です。市場がユーフォリア(多幸感)の中にいる。そういうときにはどうするか。株価が上がる可能性があれば買いたくなりますよね。しかし、市場に影響を及ぼすリスク要因は引き続き存在しているのです。

あ。そりゃそうか。

居林:リスクが無くなったから株価が上がっている、というわけではなく、市場参加者がリスクが減ったと「感じている」だけなのです。よって株価もPERが上がっていくわけですが、もし上がったとしても、その株価上昇から得られるリターンはリスクを多めに負担していることになります。私の見方では「コスパが悪い投資」ということになります。

 休むも投資なのだと思います。株式投資というのはスポーツと違って、全員勝者になる時期もあれば、全員敗者にもなり得ます。上値があって下値が少ないのが良い投資環境であって、下値があって上値が少ない投資環境だと思ったら引き下がることも必要だと思います。

なるほど。

上がる週と下がる週の数は同じ

居林:ひとつ図を見て頂きましょう。

過去10年間の日経平均(週次)のプラスマイナスの分布

居林:上の図は過去10年間の日経平均の週次のプラスマイナスを示したものです。プラスの週とマイナスの週は見事に半分ずつ、なおかつきれいに正規分布しています。

本当だ。上がる週と下がる週の数は対象形なんですね。

居林:しかし、我々投資家は、下がり続けると「もう上がらないのではないか」とか、上がり続けていると「来週も上がるだろう」とか考えてしまいがちです。結局は上がる週と下がる週の数が同じ、という事実を受け入れて、下がりすぎなのか、上がりすぎなのかを自分で判断するツールを用意すべきなのです。それが、投資哲学であり、胃薬と同時に投資家には必要不可欠なものだと思います。

 ただ、投資哲学(と胃薬)を持つ上でいちばん難しいのは、投資は詰まるところ行動だ、という点にあります。

え?

居林:人間はいつも目先のものごとを大きく捉えます。そして、それに基づいて行動したくなるんです。今、相場が上昇局面にある。理屈ではおかしい。でも、自分もその波に乗りたくてたまらない。まさしく「わかっちゃいるけど、やめられない」です。

 でも、投資を趣味ではなく仕事として行うのであれば、目先ではなく、自分の哲学、信念、意思を優先させねばなりません。そして、自分の行動を、自分の信念や意思と同一にできるのは偉大な人です。これがどんなに難しいのかは、ダイエット、マラソン、英語学習などなどを考えてみればわかります。 これらを達成するために、ほかの人が何をやっているのかは、あまり、いやほとんど関係がありません。 

わかっちゃいるけどやってしまう

…たしかに、意思は現実に負けやすい。投資もそうだとは思いませんでした。

居林:株式投資も一緒ですよ。「わかっちゃいるけど、やめられない」を、やめなければいけない。

 今は皆さん株式を買いたくなっていますよね。株価はまだ上がりそうだと。でも、企業業績が好調だったにも関わらず、ブリクジットで安くなった時はなかなか手が出なかった。原油もそうです。一時は1バレルあたり26ドルでした。今は55ドルになっています。26ドルのころも、平均採掘コストは40ドルだったのに。利益を期待するなら、そういう時、つまり「リスクが安く買えるとき」に買うべきです。

リスクが安く買える、ですか。それが「コスパがいい時」ですね。

居林:そうです。ついでに言いますと、株式を買うことに「所有する喜び」はありません。