よって、下に行き過ぎた株価は何かをきっかけに戻ることになるだろうと考えていました。そこに、今回の日銀のマイナス金利導入という明らかな支援材料がありました。市場は、行き過ぎた悲観論の巻き戻しを期待していた、そこに黒田日銀総裁の発表がはまったのです。

 日経平均はいったん大きく戻しました。実は、それを受けて最初に書いた原稿では、「足元の2015年10~12月期の決算は決して良いとは言えず、2017年3月期の企業業績は良くて1ケタの増益であることを示唆しています。よって、今年の日本株相場は下値を拾って、上値できちんと売ることのできる個人投資家が有利なのではないか、と思います」としていました。が、時遅く、日銀の力だけでは世界経済の4つの懸念、すなわち、原油価格下落の影響、中国経済の後退、米国の利上げのマイナス影響、世界の社債市場の下落、を払しょくすることができなかったため、日経平均は近年まれに見る大幅な下落に見舞われました。原稿執筆時には一時日経平均で1万5000円を割るところまで売り込まれています。

 これから発表される、2016年3月期の企業収益も円高の影響で弱いことが予想され、5月に出てくる企業の2017年3月期の業績予想も減益予想が多くなることは想像に難くありません。よって、機関投資家はなかなか買い向かう理由が見当たらないと思います。

「常に勝負」を強いられないことこそ、個人投資家の強み

 2016年は、今回のようなひとつひとつの事象に対して市場(の一部)がヒステリックに反応する、大荒れの年になると予想しています。「常に勝負しなくてもよい」個人投資家は、こうした荒れる相場では有利です。

 自らの仕事上のポジションに捉われず、買いたくなければ買わなくていい。そうした投資家は絶好の投資機会を「待つ」ことが可能です。その時点までは利害関係者ではないので損益による影響もなく、パニックに襲われずに、「投資として魅力的かどうか」という判断を冷静に下すことが可能なのです。

 確かに、円高によって日本企業の2017年3月期の業績はいったん減益を織り込まざるを得なくなると思います。しかし、仮に10%減益という大きめの減益を計算に入れたとしても、現在の株価は日経平均で15倍、TOPIXで13倍程度と過去に外国人投資家が「日本企業の覚醒」と言って買っていた17-19倍のPERよりもかなり低いのです。2016年3月期に大きな減損などで減益になっている会社の中から、2017年3月期の業績リバウントが期待できる銘柄を選んで腰を据えて投資する良いチャンスではないか、と考えています。

 「マーケットは年間、上下に30~40%動くのだ」という認識を持ち、そして、一部の人が慌てるだけで、上にも下にも行き過ぎる。これが株式市場の実態であり、それを知ったうえで投資に臨んでいただきたいと思っています。