いわゆる「経済評論家」ではなく、「実際に売買の現場にいる⼈」との議論に基づく市場の動きと未来予測です。語り手ははUBS証券ウェルス・マネジメント本部⽇本株リサーチヘッドの居林通さん。そのときそのときの相場の動きと、⾦融市場全体に通底する考え⽅の両⾯から、「パニックに流されず、パニックを利⽤する」⼿法を学んでいきましょう。ただし、投資家の自己責任ということを忘れずに、皆さんご自身でのご判断をお願いします。
シリーズ
市場は「晴れ、ときどき台風」

49回
-
だから市場は「晴れ、ときどき台風」なのです
はい。私は株価が市場参加者の心理的側面、その時のニュースの報じられ方などによって大きく歪む、本来あるべき価値から大きく乖離する「時期」があると信じています。その時期には株価は合理的形成からかけ離れます。
-
簿価割れが約5割という日本企業の“異常事態”
主として私がお話ししてきたことは日本株なので、最後に語りたいのは「日本企業の将来」についてです。前半は企業編と後半は投資家編となります。さて、まずは日本企業の時価総額の変遷を見てみましょう。
-
2023年、我々はフタコブラクダのコブの真ん中にいる
みんなの気持ちが変わり始めた年で、これから2023年にかけて新しい種をまいて、次の年ぐらいに花が咲く。そういう意味では、22年は市場はさんざんでしたが、23年は決して悪い年だと思っていません
-
ビッグマック激安の日本、輸出企業の株価は動くのか?
価格競争で打たれ続けてきたこの20年を乗り越えて、コスト競争力を身につけ、クオリティーには実績があり、フレンドリーな国でもある日本の製造業。生き残った企業にとっては、とても大きな福音の時代がやってきてもおかしくはない。
-
いよいよ弱気相場入り、でも日本株は意外に堅調?
こういうときは、「しばらくお休みなんだね」ということで、「休みの期間、君が何をやっていたかで実力が決まる」という、何か受験塾のようなキャッチフレーズを言ってみたいタイミングなのです。具体的にお話ししましょう。
-
ウクライナ危機、投資家は胃薬を飲んで立ち向かえ
今回も煎じ詰めるとそこにいきます。ウクライナ侵攻で「マーケットってやっぱり怖いものだということが分かりました」。それはいい、でも、その怖さを乗り越えないと先はない。
-
「経済合理性」から羽ばたくきっかけを得た日本株
日本企業にとってこれは大きな違いになると思います。今までは国内拠点を外に出せばコストダウンになったわけですね。経済合理性があればよろしいということだった。しかし、日本に拠点を残しておかないと、国際交渉すらまともにできなく…
-
31年ぶりの高値、株式市場は3万円を維持できるか?
政治も新型コロナも懸念材料ではあるけれど、大切なのは企業業績なのであると。企業業績がずんずん上がって、株価がどんどん下がっていたら、投資家としては「大チャンスだ」と、どんどん喜ばなければいけない。そう思いながら耐えてきま…
-
「プールは満水、それでも不安」金融引き締めは投資チャンスかも
もちろん個々の投資家の胸の内までは読み切れはしませんけれど、総じていえば、テーパリングへの不安から弱気に転じた人が思ったよりたくさんいて、いったん相場が下落した、ということだと思います。
-
「ああ、分かっていたのに」流動性相場の注目サインは何か
株式市場の参加者にとって本当に大切なのは、金利より流動性です。「自分の後ろに並んでくれる人がどれだけいるんだっけ、この列もっと伸びるんだっけ」と、簡単に言うとこういうことであります。
-
日経平均3万円、今は森より林を見る時期
ハイテク株の息切れ前に、物色がずいぶん変わり始めて、サービス産業、個人消費銘柄にお金が動き始めました。そして製造業も頑張っている。
-
日経平均は来年どこまで上がるのか?
2020年末に外国人投資家が戻ってきたのは、その前に6兆6000億円も売っていたからでして、この11月の3.2兆円の買い戻しを入れても、まだざっくり4兆円弱ぐらい売り越しなんですね。
-
債券市場×ウルトラマン=株式市場高騰
ところがこれは債券投資家にとってみれば大変困ったことなんです。というのは、債券市場、正確に言うと国債市場というのは株式市場と違って、サイズが決まっているわけですよ。
-
日本のGDP3割減、それでも株価が堅調なのは?
「昔の需要が戻ること」が、「戻る」前提とすれば、長くかかるということであって、「新しい」需要が出てきて、それが経済をプラスにするというのは、業績予想には織り込まれてない。
-
「強気派」「弱気派」を朝まで脳内バトルさせよ
自分が弱気判断をしていても、強気のシナリオを描いてみます。それでも現在の株価が十分に高い、というときには私は弱気判断を維持します。強気判断をしているときには逆に弱気シナリオを描きます。
-
壮大な「行って来い」の株式市場から学ぶべきこと
株式市場は記録的な下落と記録的な回復を見せました。新型コロナウイルスの脅威が去ったわけでもないのに、市場にこういう動きをされると、私(聞き手の編集Y)みたいな素人には「なんでこうなるんだろう」としか言いようがありません。
-
新型コロナショックは投資機会か?
これで現状の株価が低ければ何の問題もない、といいますか、ある意味正常なのです。常々申し上げていたように、業績と株価はリンクしていくのが筋だと思いますので。ところが、すでに半値を戻した。
-
孫正義氏の決算発表動画は、投資家の教科書だ
投資家ならばものすごく「投資」についての理解が深まるし、自分自身を省みる鏡にもなると思います。投資家でない方も「そういう考え方なのか」と腑に落ちるでしょう。必見です。
-
新型コロナショック、市場は悪影響を織り込み済み
企業業績は4-6月期までは前年同期比で2ケタのマイナスが続くと思います。しかし、その後の回復期がやってくることも同時に予想しています。株価が急落したのは、株式市場がもともと楽観論に支配されていたからだと思います。
-
2020年の市場は「天井を読めるか」の勝負に
どこかで日本株市場は調整をすると思いますが、日本株だけではなく世界株が、昨年と打って変わって強気なので、機関投資家としては降りるに降りられないという状況でしょう。個人投資家は利食いに出るタイミングです。
WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
おすすめのシリーズ
-
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
-
徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
-
クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
-
不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
-
菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
-
1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
-
10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
-
河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
-
ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
-
大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
-
グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
-
フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
-
ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
-
テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
-
70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回