中国経済の今の状況は日本のバブル崩壊後の1992年頃と似ている。中国の高度経済成長は2013年に終わった。不動産の価格が右肩上がりでグイグイ上昇するようなことはもう二度とない。しかし、中国人の消費が冷え込むようなことは起きていないし、中国の経済成長が急激にゼロに落ち込むようなことはまず起こらないだろうと宋文洲氏は予測する。中国の経済統計の信頼性を疑う声が強くなっているが、統計の問題は強調されすぎているとも言う。

 私から見ると、今の中国経済は日本のバブル経済崩壊後の1992年ごろの状況とよく似ています。中国の高度経済成長は2013年に終わりました。中国が10%とか9%といった高い経済成長をすることは、もう二度とありません。

 そのことは、中国人の企業経営者ならみんな分かっています。不動産の価格が一本調子でグイグイ上昇するようなことはもう起こりません。製造業では企業の選別が進み、付加価値の低い製品しか作れない会社は淘汰されていきます。このことも、中国人の経営者なら誰でも分かっていることです。

消費の冷え込みは起こっていない

宋文洲(そう・ぶんしゅう)氏:1963年中国山東省生まれ。中国国費留学生として85年に北海道大学大学院に留学し、工学研究科の博士課程修了。89年に起きた天安門事件のため帰国せず、札幌の会社に就職したが、すぐに倒産。92年にソフトブレーンを創業し、独自開発の営業支援ソフトの販売やコンサルティング業務で会社を成長させた。2005年に東証1部に上場。42歳でソフトブレーンの経営から引退し、生活の拠点を北京に移す。

 では、中国の一般市民には何が起きているでしょうか。中国人の消費が冷え込むようなことは起きていません。実際、日本では中国人観光客のいわゆる「爆買い」ブームが続いていますし、中国人の海外旅行者は2015年に年間1億2000万人を突破しました。

 高度経済成長が終わっても、それが一般の中国人の生活にまで大きな影響を与えるようになるのは数年後のことかもしれません。日本でもバブルが崩壊してから市民の生活に大きな影響を与えるまでに数年かかったように、それは十分にありうることです。

 しかし、中国の経済成長が急激にゼロに落ち込むようなことはまず起こりません。中国経済の成長率は今後の10年間、ゆっくりスローダーダウンしていって5~6%、悪くても3%といったところで落ちつくでしょう。