利害関係者を整理

 メーカーとしては、日本人はマナーが良いので、キャップを別に捨てられるトレーを作ればいいと考えていました。つまり、キャップを開けたまま、液体を残すような捨て方はしないはずなので、キャップ置き場をどうデザインするかが議論のポイントとなると捉えていたようです。しかし私は、実際にはもうひと工夫する必要があるのではと感じていました。

 そこでまずはメーカーさんから頂いた課題にとらわれず、問題を根本から考えなおして一つひとつ整理することにしました。ゴミ箱にまつわる利害関係者は誰かを洗い出すところから始め、メーカーと消費者、そしてゴミ箱のメンテナンスをするルートセールス担当者、さらには自動販売機のオーナーの4者がゴミ箱に求めているのはどんな要素なのかを整理したのです。

 例えば、リサイクルへの啓発意識を上手に伝えられるゴミ箱があったら、それは消費者の関心を引きますし、メーカーにとっては環境問題に対する取り組みをPRするいいチャンス。また、ゴミ処理費用の削減ができれば、メーカーとルートセールスを担当する会社にとってはありがたい話です。

 このように、各利害関係者の立場をポジショニングしなおし、それぞれがメリットを感じられるような要素が何かをマトリックス化して並べたのが下の図です。おそらく4者全員がメリットを感じられるようなデザインをいきなり生み出すのは難しいでしょう。まずはそのうちの2者のメリットを優先して考えることにしました。

利害関係者を整理してデザイン
消費者(左上)、メーカー(右上)、自動販売機のルートセールス担当者(右下)、オーナーの4者にそれぞれメリットのあるゴミ箱とはどのようなものか。各要素を書き出したあと、実際のデザインを行った