「飲み切らせる」ゴミ箱

 では早速、そんな数あるボツ案の中から1つを見てみましょう。

 クライアントへのプレゼン時はとても好評だったのですが、さまざまな事情から残念ながらボツになってしまう。私たちの仕事には、そんなデザインが多々ありますが、その1つが、大手飲料メーカーから依頼された自動販売機用のゴミ箱です。

 自動販売機を街に設置する場合、その隣にはゴミ箱が欠かせません。ゴミ箱を中心とした自動販売機周辺の環境美化は、メーカーの社会的責任とブランドイメージにも大きく関わる問題です。このゴミの回収やメンテナンスは、飲料を自動販売機に補充するルートセールスと呼ばれる方が行うのですが、どうやらこうしたスタッフの皆さんが回収しやすい仕組みのゴミ箱が今までなかったようなのです。

 ゴミ箱は多くの人が使うのでさまざまな配慮が必要になります。例えば、ゴミ箱の上を平らにしてしまうと、通りすがりの人が関係ないゴミをその上に置いていってしまうので避けなくてはいけません。雨水が入り込んでもいけないので、その対策も必要です。また、今のゴミ箱は、コーヒーショップのトールサイズのカップがぴったりとはまってしまうそうです。それがゴミ箱の入り口を塞いでしまって次のゴミが入らなくなってしまう。結果的に周囲にゴミが散乱して、オーナーが困るというケースがあるということでした。重量が軽くないと扱いが大変だし、一方で強度や耐久性も必要です。

 そして、一番の課題は、捨てる前に飲料の中身をカラにしない人が多い、というものでした。液体が入ったままのペットボトルがゴミの中にあると、その分別や処理に莫大な手間とコストがかかる。なので「飲みきってから捨てたくなるゴミ箱をつくってほしい」という、お題をいただきました。