労働組合・東京管理職ユニオンアドバイザーの設楽清嗣さん

設楽:会社員の評価がその時点だけでされていて、その前や今後を見ない。つまりは、切断されているのです。そして、「おまえはこのレベルだ」と強引に評価されている。

 東京管理職ユニオンの組合員は、ほかのユニオンの組合員と比べても相対的に年収が高い。我々よりも、倍の収入をもらっている組合員もいます。そのような人たちを防衛しなければいけない。本当に不眠不休です。まさに不眠不休の努力。世間の人からすると、確かにカルトに見えるだろうね。「あいつら、おかしいんじゃないかな」と。

取材をしていると、パワハラや退職強要、退職脅迫、賃金不払いなど、会社の中に、不当な行為をする人はいます。それらを解決するために、本来は社内で話し合うべきなのです。ところが、できない。
 被害を受けた社員が止むを得ず、ユニオンや労基署に相談をします。すると、会社の側は「なぜ、俺たちに言わなかったのか。話し合いで解決しようと言ったじゃないか」と言い始めるのです。

鈴木:頻繁にありますよ。それは…。「外に持ち出さなければ、話し合う気なんてなかったのだろう!?」と言いたくなります。

設楽:そのような脅しをかけている側が、わかっていない。自分が社内で強い力を持っていて、相手に対して威嚇しているという自覚がない。

 ハラスメントの大半は、自分がハラスメントをしていると思っていないところから始まります。「仕事をもっと頑張ってもらいたいから、激励しただけだ」と。セクハラもそうですよ。俺は「彼女のことを思い、忠告しているだけだよ」とね。

会社を経営する側やその言いなりになる社員の中には、「ユニオンのこの2人こそが、ハラスメントだ!」と問題視する人もいます。

鈴木:それは、ハラスメントという言葉の使い方が間違っている。会社における権限、パワーを行使して、無理強いをすることを「パワーハラスメント」と呼ぶのです。我々が会社に抗議をするのは、法律にもとづいたものであり、そこに「雇う、雇われる」の関係はないのですから。

 本来、労使関係は法律上では対等であったとしても、実際は対等とは言い難い。それを対等のところに引き上げるために、労働組合が必要なのです。

 そのためには、会社員は労働者にならなきゃいけない。組合活動の経験がない人からすると、「キモイ」とか、それこそ「反日左翼カルト集団」になるのでしょう。だけど、そのキモイことをしないと、会社と向き合っていくことはできない。

設楽:サラリーマン労働者は会社員として仕事をして、会社の義務を果たす人格はある。本来は、社会的な労働者として会社と対等な人格にならなければいけない。それができていない!

前回から現在に至るまでのお話に理解を示す会社員は実は少なくない、と私は思うのです。ところが、東京管理職ユニオンの政治的な行動を知ると、「ああ、やっぱり…」と引いてしまうように感じます。

鈴木:それには誤解があります。東京管理職ユニオンは、安保や憲法の問題についての取り組みは異常に弱い。組合員は「安保賛成」や「改憲派」のほうが多いと思います。

 安保や憲法のこととは別に、労働組合が労働基準法をはじめとした労働法のあり方について問題提起をしていくのは当然のことです。

 労働組合は、会社と交渉しているだけではないのです。労働組合の活動を否定する政治家や経営者、経済団体もあります。労働組合の力を弱めようとする動きもある。これは労組に入ってないサラリーマン労働者も含めた問題なのです。だからこそ、政治にも訴えかけます。