「おとなしい波平さんも決起するんじゃないか」

ユニオンが、会社に対して「市民感覚」を持ち出してくる発想そのものがおかしい、と批判する会社員もいますね。

設楽:それは、会社を不可侵なものだと思っている人の考えでしょう。会社が外に向けて開かれていない。だから、会社がどんどんと問題を起こしている。それこそ、カルト会社だと私は思います。そこにいながら、声を上げないことが普通だと考えているならば、まさしく、カルト社員です。

鈴木:カルト社員は、「異議あり!」と我々のように声を上げること自体が、カルトだと思っているのかもしれない。しかし、カルト社員は結果として、会社の不祥事や不当な行為に加担しています。例えば、電通事件などは、その一例でしょう。

設楽:彼女は、職場で孤立していたのだろうね…。

鈴木:周囲の社員たちは、結果としてそれを見殺しにしたわけでしょう。私は言いたい。「あなたたちこそ、いなくなれ!」と。彼女をさんざんに苦しめておいて。

設楽:これは強く言っておきたいのですが、会社に「市民感覚」を持ち込まないと、会社はよくならない。労働者は救われない。ところが、会社の利益を守るために、会社員は会社共同体の網を引くことで、組織を守ろうとする。

鈴木:市民感覚を受け入れようとしなかった東芝は、もう、“死に体”じゃないですか! かつては、テレビ番組のスポンサーとしてCMを大量に流していました。東芝日曜劇場では、「明日をつくる技術の東芝がお送りします!」…って。同じくメーンスポンサーだった「サザエさん」は国民的番組ですよ。今の東芝のだらしない姿を見て、おとなしい波平さんも決起するんじゃないか。

設楽:愚かだよね。会社が破綻して初めて気が付くサラリーマン…。90年代後半の金融不況の頃も、銀行や証券会社が次々と破たんした。4大証券の一角を占める、山一証券がつぶれるなんて、ほとんどの社員は想像すらしていなかったはずです。信じ込んでいるのですね。いつまでも会社を…。

当時、山一証券の企業内労組の役員がテレビの報道番組で、「我々は前々から、会社がおかしくなることは分かっていた」と言っていました。

鈴木:そんな言い分は通らない。その発言を認めたら、ダメ! 日本のような企業別組合は、世界でもまれな存在です。市民感覚からかけ離れた存在であり、不祥事を起こしても、不当な行為をしても常に会社と一体になっている。

設楽:企業内労組は会社の一員として、会社をかたくなに守ろうとします。だから、我々、ユニオンに相談に来た人が「異端者」になるのです。揚げ句に、企業内労組や会社員の中には、ユニオンのことを「反社会的集団」とレッテルをはる人もいます。

鈴木:最近ではネット上で、「東京管理職ユニオンにこそ、共謀罪を適用せよ!」と書かれます。実際、政府・与党が推し進める共謀罪の議論を見聞きしていると、我々のこともその処罰の対象として想定しながら国会で答弁をしている、と思えます。光栄ですよ、ホントに…(笑)