「使えない上司」の特徴

 今回はまず、私が森さんに取材を依頼した理由を述べます。森さんには、数カ月前にも別の媒体で「使えない上司・使えない部下」というテーマのもと、取材をさせていただきました。そのときに話されていた言葉で、強く共感したのが次に挙げたものです。

人事コンサルティング会社・トランストラクチャの代表取締役である森 大哉さん

その1「部下育成が下手な上司には、2つのタイプがある」

「部下育成が下手な上司には、少なくとも2つのタイプがあると思います。1つは、重箱の隅をつつくかのごとく、実に細かいところにまで仕事の指示・命令をするタイプです。もう1つは、プレイング・マネージャーとして部下の育成・指導をするものの、プレイヤーとしての仕事が一杯となり、部下の育成に手が回らない人たちです」

その2「逃げ道をふさぎ、責任を追及する」

「前者のタイプは、たとえば、部下が考えた企画の論理の矛盾を指摘し、返答ができないようにして追い詰めていくのです。部下が何もいえなくなると、勝ち誇ったようになる人もいます。「これはダメだ」「あれもダメ」と回答の出口を1つずつふさぎ、反論ができないようにすることもあります」

「部下を理詰めにするタイプは、「それは違う」「これも違う」と出口をふさいだうえに、「どうするんだよ!」「誰が責任をとるんだ!?」と追及することがあります。これでは、部下は答えようがないでしょう」

 この2つの言葉(その1、その2)が指摘する「上司」の特徴は、私が仕えた前述の部長にそのまま当てはまるように思えたのです。

 森さんはまず、取材に答えるにあたってのご自身の立場を話されました。

「今回の質問(上司との関係)は、いわゆるサラリーマンの心の内面的な要素と思えるものが多く、少なくとも人事のコンサルティングの場で聞くことはあまりありません」

 そのうえで、「部長が、権限を与えたはずの中間管理職(課長)を飛ばして、その部下とコンタクトする」ことについては、次に挙げたような理由が考えられると指摘しました。

(1)指揮命令系統に沿ってコミュニケーションしなければならない、という組織運営の基本原則を知らない。

(2)基本的に権限委譲する(任せる)ことが苦手である。