10年ぶりに連絡を寄こした「トロい奴」

 今回は、10年ぶりに接触をした男性との間に生じた問題を通じて、職場での生き方を考えます。

 私は毎年暮れに、数百人にメールを送ります。何らかの形で接点をもった人たちです。「1年間、お世話になりました」という意味を込めた挨拶です。昨年暮れに送信したのは、500人前後。返信があったのが、50人ほど。

 その中に、意外な男性がいたのです。10年前に、本をつくる仕事を一緒にした編集者です。その後の10年間は、一切、接点がありませんでした。男性は当時、編集者としての経験が10数年あったにも関わらず、その仕事ぶりは要領を得ませんでした。上司である部長が、私に言っていました。

 「あいつは、トロい奴でしょう?大学を卒業し、記者になろうとして、新聞社の試験に落ちた。そんな不満を時折、まき散らす。俺は、本当は新聞記者になることができた、と。

 みんなからは、“早く辞めて、新聞社へ行けよ”と陰で言われている。だけど、なかなか辞めない。あいつは足元を見失っている。編集者としてするべき、目の前の仕事ができない」

 この言葉だけで正確に判断することはできませんが、少なくとも、男性が仕事の要領を心得ていないことは間違いない、と私も思っていました。

 10年後の今年、10年ぶりに男性と仕事をしたのです。彼のメールの返信に「本のまとめが遅れています。助けてもらえませんか」と書かれてありました。気の毒に思い、年明け早々に仕事を請け負ったのです。

 10年前にトロかった奴は、10年経ってもトロいままでした。相変わらず、「新卒時に記者になることができた」とはるか前のことを話します。「周りにいる編集者とは自分は違うんだ」と言わんばかりです。10年経っても、仕事においては大きな進歩がなかったようです。やはり、要領を得ないのです。