嘘の上に嘘をぬり固める編集者

 さらに気分が悪くなったのは、こんなメールです。「(原稿の中の)この言葉は、全国紙のA紙、B紙では使われていないので、うちでも使用しないようにしています」。

 奇妙に思いながらネットで検索すると、2つの新聞社はもちろん、ほかの全国紙も通信社もその言葉を使用しているのです。急いでこの編集者にメールで確認しました。

 今度は、「編集長がこの言葉を使うな、と言っています」と返信をしてきます。その都度、回答や話す内容が違うのです。本人も嘘の上に嘘をぬり固めるからなのか、何が事実で、嘘であるのか、自分にもわからなくなっているようでした。

 とどめは、こんなメールです。「今回の記事について、~という指摘の電話が読者からありました。したがって、~という方向で記事を書くのをやめてください」。

 正確にいえば、この編集者は数年前からこのようなことを書いて送ってきます。「読者からの電話やメールが…」というものです。なぜか、男性のところだけに電話やメールが集中するようです。魔訶不思議なことです。

 ここ10数年で90~110人の編集者と仕事をしましたが、こんなことをメールに書いてくる人はほとんどいません。この編集者はサイレント・マジョリティー、つまり、電話やメールを送ってこない多くの読者には配慮をしないのです。こちらは考えるほどに、後味が悪く、沈んだ気分になります。

 編集者は暗闇の中、灯りのような存在となり、書き手をリードしていくのが使命です。この編集者は書き手がどこに進むべきか、わからないようにします。自分自身も心得ていないようです。ただ、社内や部内の空気などには敏感で、おびえているような感じはします。