「不適切」と疑われた大学は第三者委員会を設置

 まあこんな現状なのですが、いくつかの報道やコメント、社説を読んでいるとやや混乱があるので整理しておきましょう。そもそも、この医学部入試の「不適切」さは、次の2点に集約されます。すなわち、「税金が多く投入され、かつ医療政策に重要なインパクトを持つ医師養成のための学部である医学部の入試に関しては、私立大学であっても公共性が高いので勝手は許されない」ということと、「事前にアナウンスしない合格基準を作ってはいけない、しかも性差別は憲法違反」ということです。どちらも頷ける内容ですね。

 こういった状況においては、不適切入試を疑われた大学はまず第三者による調査をし、結果、不適切(何度も書くと米元大統領のビル・クリントン氏のアレを思い出しますね)だったのならビシッと謝り改善するしかないでしょう。

順天堂大学が女性を合格しづらくした驚きの理由

 しかし、とんでもない言い訳をしてしまった大学があります。それは順天堂大学。順天堂大学には親しい友人もおりますし、現在の院長である天野篤先生(今上天皇の心臓手術の執刀医)とも対談させていただいたことがあります。ですからあまりディスる(最近の言葉で、けなすとか馬鹿にするという意味です。語源はdisrespect)ことはしたくありません。が、あまりに情けない言い訳をしていたので取り上げざるを得ないのです。私はその言い訳を聞いたとき、あまりのショックにしばらく口がきけなくなりました。

 第三者委員会の報告書を詳細に読みましたが、順天堂大学では主に次の2点の理由で女子が合格しづらいようにしていました。

  1. 女性の方が精神的な成熟が早く、相対的にコミュニケーション能力が男性より高い
  2. 女子寮が足りない

第三者委員会緊急第一次報告書より)

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