初めに、被害者の方々とそのご家族へ心からの哀悼の意を申し上げたいと思います。2度とこのようなことが起きてはなりません。

 この事件はいくつかの「違和感」を私たちにもたらしました。そこで、初めにこの事件の特徴的な点を挙げましょう。

  • ツイッターで自殺願望者を募集
  • 遺体の処理は一人で実に「手際よく」行われた
  • 2カ月で9人という早すぎるペース
  • 意外と「普通」そうな容疑者像

 これらについて、順に解説していきたいと思います。

ツイッターで本音をもらす若者たち

 第1の違和感、それはツイッターで自殺願望者を募集していたという点です。インターネットを使って自殺願望者を募り、その人たちを殺害した事件は過去にもありましたが、ツイッターでかなり効率良く願望者を集めた点はこの事件に特徴的です。はたしてツイッターで自殺願望者を募集するなんてことができるのでしょうか?

 その問いに答えるために、まずツイッターについておさらいしましょう。ツイッターはもともと「tweet(つぶやく)」という意味の単語からきたもので、文字数上限があるという特徴があります。ちょっと前まで140文字、今は280文字(現時点で日本語は対象外)です。米国発のサービスですが、漢字文化のおかげか世界中でもっとも流行っているのは日本です。漢字は視認性がいいので短文でも内容が豊富になるのですね。中国では使用できず、代わりに微博(ウェイボー)という似たSNSがあります。

 そして、現代の10歳代、20歳代前半くらいの若者は、このツイッターで多数のアカウントを持っています。これはつまり、複数の偽名を使っていろんなつぶやきやコミュニケーションをしていることにほかなりません。アカウントは2~3個ではなく、5~6個持っている人も全く珍しくないほどです。そのアカウントの中には「捨てアカ(ウント)」「裏アカ」などというアカウントがあります。「捨てアカ」は本気度の低い適当な発信とコミュニケーションをするもの、「裏アカ」は匿名化することで誰にも気を遣わない好き勝手な発言をしたり、売春相手を探したり差別発言をしたりと文字通り「裏」の活動をするためのアカウントです。こういう背景があります。

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