なぜ力覚が必要なのか

 なぜここまで感激したかというと、私が手術で扱うお腹の中の臓器はかなり「柔らかい」臓器なので、引っ張るとちぎれてしまうからです。これは開腹手術でも同じで、直接、手でつまんだり引っ張ったりするときにも注意が必要になります。

 私が外科医になったころは力加減が分からず「強く引っ張りすぎ!裂けるだろ!」とか「弱い!もっと引っ張れ!」などと上司に怒鳴られたものです。かといって強く引っ張りすぎると、腸や脂肪は裂けて血が出たり腸液という汚い液体が出てしまったりします。

 これに気づかず手術を終えると、患者さんの死亡につながることがあるため、絶対にあってはなりません。ダヴィンチでは力覚がないため、ただただ見た目だけで「どれくらい引っ張っているか」を判断することになります。これはかなり慣れが必要でしょう。

 それ以外にも、外科医は執刀中に変な抵抗を感じたら必ず立ち止まります。それは大出血やがんに切り込むことを避けるためで、力覚がなければこれも難しくなるのです。

力覚の敏感さは変えられる

 しかもリバーフィールドの製品は「どれくらいフィードバックが返ってくるか」は調節が可能だそうです。

中山「社長、ちょっと力覚を敏感にしてもらえませんか?」
社長「いいですよ」

 社長はそう言うと、コンピュータを操作してすぐにモードを変えてくれました。すると、確かに力覚が強く返ってくるようになり「おお、敏感になってる!」と思わず声を上げてしまいました。

 これなら非常に繊細な部分の手術では鋭敏さを高めることができます。うーん、これを使えば手術はもっと早くなるし出血も減るだろうなあ……。そう思わざるを得ませんでした。

 デモ機を満喫した後、別室へ。原口社長がこれを開発した経緯などを聞きました。

(後編へ続く)